症状と対応方法について

2016.12.08

１.軽度の物忘れ
どの認知症の方も、新しい出来事から忘れ、古い記憶は残ります。
初期には、ご本人も物忘れの自覚がありますので、メモ等を使用しご自身で対応することもあります。
●対応方法
初期には、同じことを何度も聞いたり、探したり、ご本人も不安で一杯ですが、同時に認めたくない受容できない状態なので、周囲からの指摘やしったに過剰反応されます。
介護者は叱らない。無理強いせずに、ご本人のできることを支援しましょう。
具体的には、笑顔でゆっくり対応し、大事なことはノートに書き、一定の場所に保管します。
眼鏡など、物の置き場も一定に、張り紙で掲示します。
一定の時間で生活パターンをアラーム音とともに過ごすと混乱が軽減します。
火の消し忘れも見られますが、ご本人は火事の重大性に乏しいので、ＩＨ電磁調理器やガス器具で自動消火装置が付いているもの、市区町村の消火装置サービスを講じることが大切です。

２.中度の物忘れ
アルツハイマー型認知症では、だんだん記憶が保てなくなり、初期に役立ったメモも忘れてしまうので、利用が難しくなります。
レビー小体認知症では、個人差がありますが、記憶が良いときの差（変動）があり、徐々に悪化します。
●対応方法
規則正しい、一定の生活時間に合わせて過ごすと安心されます。変化の対応力が低下し、混乱することを予防します。
アルツハイマー型認知症の方は、瞬間の記憶になりますが、幸福感など感情は残るので、楽しく過ごすケアが大切です。
また食事をしたことを忘れ、「食べてない」と怒る方もおいでです。「今準備しています」とお茶で気をそらしたり、食後の後片付けをしないで、そのまま団らんをすると食事の記憶がとどまり易いようです。
認知症の周辺症状や行動障害が目立つ時期で、ご本人、ご家族の不安、混乱、負担が一番大変になります。

３.重度の物忘れ
自発性の低下、意欲の低下がなどが進行してくるため、物事への関心がなくなり、同じことを何度も聞くことが少なくなります。記憶障害が目立たなくなるように感じます。
アルツハイマー型認知症では、後期になると記憶障害が進み、昔のことも話されなくなります。
レビー小体型認知症では、後期になると記憶障害が目立たなかった方でも、障害がみられるようになります。
●対応方法
快適さを大切に。ご本人からの訴えが少なくなるので、介護者が察して介護をします。
ご家族のことを忘れて、わからなくなることもありますが、その瞬間を快適に、安心して
過ごせるよう、笑顔で優しく接することが大切です。
「気持ちいい」「おいしい」感情は最後まで残ると言われています。手を握る、やさしく体をさする、好きな音楽、香り（ｱﾛﾏﾃﾗﾋﾟー）を楽しむ環境が望ましいのです。

●介護者の基本的対応の仕方
認知症の方は、病前は社会人として、働き、家庭を支え、子育てをしていらした方々です。
「あれができない、これがわからなくなった。」と認知症状に目をやらずに
ご本人の本質、どう生活したいのかを見つめ、医療、介護、福祉、地域、家庭が連携し
支援することが大切です。
認知症の方を決して子供扱いなさらずに、もし自分が認知症になったら支援してほしいケアや対応を心掛けたいものです。
できることはご本人に、苦手なことは支援し、得意なことはお任せする。人の役に立つ
満足感は自尊心が保たれ、認知症の障害が軽減するともいわれています。
認知症の困った症状は根本原因をご本人に照らし合わせ考えることが大切です。
介護者の疲労や負担は大きく、介護する側、される側がちょうど良い距離で対応できるよう、介護者は頑張り過ぎず、医師や、社会、介護サービスを上手に活用していただければと思います。