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認知症対策の大綱決定 「予防」に初めて重点 数値目標は参考値に
政府は18日、認知症対策を強化するための新たな大綱を関係閣僚会議で決定した。認知症の人が暮らしやすい社会の実現を目指す従来の「共生」に加え、発症や進行を遅らせる「予防」に初めて重点を置いた。5月の素案で示した「70代での発症を10年間で1歳遅らせる」という初めての数値目標は参考値に格下げし、患者の精神的負担にならないよう配慮した。
大綱は平成27年に策定された「認知症施策推進総合戦略」(新オレンジプラン)に代わるもので、計画期間は団塊世代全員が75歳以上の後期高齢者となる令和7(2025)年まで。同年には認知症の高齢者が5人に1人に当たる約700万人になると推計されており、社会保障費を抑制する狙いもある。
予防の新たな定義として「認知症にならないという意味ではなく、なるのを遅らせる、進行を緩やかにする」と明記。認知症は「誰もがなりうる」とした上で、「発症を遅らせ、認知症になっても希望をもって日常生活を過ごせる社会」を目指すことを掲げた。
素案では「70代での発症を10年間で1歳遅らせる」ことにより「70代の患者を約1割減らせる」との試算を盛り込んだが、患者側や与党内から「偏見を助長し、自己責任論に結び付く」「科学的根拠が明確ではない」と批判が集まったため最終案では削られた。
具体策としては、運動や社会参加が孤立を防ぎ、予防につながる可能性を指摘。高齢者が集まり、体操や会食、趣味を楽しむ「通いの場」への参加率を、平成29年度の4・9%から8%程度に高めることを重点目標に位置づけた。
公共交通の事業者に配慮計画の作成を義務付けるほか、高齢運転者向けの免許制度を創設するなど関係省庁の施策もまとめた。