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認知症への理解広める「キャラバン・メイト」/むつ市田名部高の生徒ら登録/7月1日、大平小で初講座

青森県むつ市の田名部高校JRC部の生徒が、認知症への理解を地域に広げる活動を本格的に始める。9日は、認知症サポーター養成講座の講師役「キャラバン・メイト」になるための研修を受け、キャラバン・メイト登録が決まった。7月1日に同市の大平小学校で、初の講師を務める予定。生徒たちは「高校生らしく、正確な知識を楽しく伝えられるような講座をつくりたい」と抱負を語った。

 下北文化会館で開かれたキャラバン・メイト養成研修には、JRC部の15人を含む38人が参加した。午前10時から午後5時まで一日いっぱいかけて、市内外の介護事業者に交じり講座運営の方法などを学んだ。

 グループワークは、地域の学校や住民団体など、班ごとに別々の受講者を想定したカリキュラム作成がテーマ。生徒たちと大人が、同じ班の中で効果的な講座内容について議論した。中学生が対象の講座で「受講する生徒を参加させる寸劇を行う」、小学生向けに「クイズ形式で認知症の人への接し方を説明する」など、さまざまなアイデアが出た。

 JRC部の大場正士(なおと)部長(2年)は「専門の知識がある大人の皆さんとのグループワークは大きな経験。認知症の人や家族には、寄り添うような対応が大事と再確認できた。柔軟な発想や行動力を生かして、堅苦しくならない講座を考えたい」と話した。

 研修の講師を務めた秋田谷一さん(つがる市)は「高校生が積極的に取り組んでくれて、大人が引っ張られるようだった」と評価。「スポンジのように知識を吸収する高校生が認知症について学ぶのは、地域の財産になる。若者のパワーで、受講者により響く、伝わる講座をしてくれるのでは」と期待を寄せた。

 田名部高校JRC部は2月、市から「認知症サポート団体」の認定を受けた。市は7月1日の大平小での講座を皮切りに、本年度は市内の学校で、生徒たちが講師となる認知症サポーター養成講座を複数回開く予定。大人向け講座での講師役も検討している。

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<認知症サポーター> 認知症を正しく理解し、認知症の人や家族を応援する人材を養成する国の制度。認知症の知識(症状、診断、予防)や、認知症の人との接し方などを学ぶ養成講座を受ければ、年齢問わず誰でもサポーターになれる。むつ市は、従業員や団体メンバーの半数以上がサポーターとなった企業や団体を認定する「認知症サポート事業所・団体」制度を設けている。これまで、市内の28事業所、11団体が認定を受けている。