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脱ロウ玄米 高齢者200人で認知症予防の効果検証へ 東北大と食品メーカー
東北大と食品メーカー「東洋ライス」(東京)は、玄米の表面を覆う「ロウ層」を取り除いた脱ロウ玄米を継続的に食べることで認知症の予防と悪化を抑制できるか検証を進める。大学内に共同の研究部門を設けてデータ収集や解析を進め、2020年度の結果公表を目指す。
【写真】進む多言語対応 道の駅にも外国人向け翻訳機設置東北大スマート・エイジング学際重点研究センター(仙台市青葉区)副センター長の滝靖之教授(機能画像医学)によると、玄米には認知症のリスクを高める高脂肪食の食欲を抑えるガンマオリザノールという栄養成分が含まれる。
神経細胞脱落を引き起こすタンパク質のごみ「アミロイドベータ」が脳内に蓄積するのを抑える「フェルラ酸」という成分もある。脱ロウ玄米は通常の玄米と比べ、これらの成分の吸収がよくなるという。
マウス実験では既に、玄米食が認知機能維持に有効という結果が全国の研究機関で報告されている。今回は「人にも効果がある」との仮説を立て検証する。同センター内に6月、滝教授が率いる栄養認知健康脳共同研究部門を設置した。
東京都内を中心に高齢者施設の協力を得て10月ごろから半年間、70代前後の計約200人に昼食で週4回以上、茶わん1杯ほどの脱ロウ玄米を食べてもらう。半年後に記憶力や注意力などを調べ、白米を食べている同年代の200人のデータと比較する。
8日に都内で記者会見があり、滝教授は「効果が確認されれば、高齢化の進展に伴い膨張する医療費の抑制につなげられるかもしれない」と意義を語った。
厚生労働省によると、65歳以上の認知症の人は15年で推計約520万人。25年には約700万人になるとされる。
[脱ロウ玄米] 一般に市販される玄米は一粒一粒がロウ層で包まれている。消化が悪く栄養成分が体内に吸収されにくい課題がある。ロウ層を取り除く特殊技術を開発した東洋ライスが「金芽ロウカット玄米」の商品名で2015年3月に販売を始めた。ビタミンや食物繊維などは玄米とほぼ同等。