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「新国民病」を改善する方法|『逆流性食道炎は自分で防ぐ!』

文/鈴木拓也


「新国民病」とまで呼ばれ、罹患者が増加しつつある逆流性食道炎。

これは、何らかの原因により胃液が食道へと逆流し、食道が炎症を起こす病気だ。自覚症状としては、胸やけやつかえ感などがあり、「おいしく食事ができない」「快適に眠れない」など、日常生活に支障をきたしやすい。気管支喘息や誤嚥性肺炎のような合併症を誘発することもあり、早めの対処が肝心だ。

最近は若年層にも発症する人が増えているが、加齢の影響で胃液が逆流しやすくなる中高年以上がやはり多い。
ただ、基本的には「飲み薬による治療と、日常生活の改善で、ほとんどの場合は軽快する」と言うのは、『逆流性食道炎は自分で防ぐ!』(池田書店)を監修した島田英昭教授(東邦大学大学院消化器外科学講座など併任)だ。

本書では、この病気の基礎知識や病院での検査・治療法に加え、「生活を改善しましょう」「体を動かしてみましょう」という章が設けられ、自分でできるセルフケアが多数掲載されている。どれも容易で習慣化しやすいものばかりで、ここでいくつかを紹介しよう。

■横寝をするなら左側を下に

逆流が起きやすいタイミングは、就寝中と食後2~3時間。そのため、食後3時間以内に横になるのは逆流を自ら招くようなものなので、極力避ける。

また、就寝時に横寝をするなら左側を下にする。これだと、胃の位置が食道よりも下になり、また、胃液の逆流を防ぐ下部食道括約筋の圧力も上がって、逆流が起きにくくなる。この時、体を丸めないように注意。丸めると腹部が圧迫され(胃が押され)、逆流しやすくなってしまう。

■塩分と糖分を控える

生活習慣病の予防に「塩分控えめ」とはよく言われるが、これは逆流性食道炎にも当てはまる。
塩分が多い食物だと、胃の中で滞留する時間が伸びてしまい、その分胃酸が多く分泌される。さらには、「膵液や胆汁の分泌も増えて、十二指腸液の逆流も増える傾向」があるという。

また、塩分が多いと食道の粘膜が接する液体の浸透圧が高まり、胸やけなどが起きやすくなる。これは糖分についても同様で、塩分と糖分のどちらも控えめにするよう注意する。

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