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口のなかを制するものは健康を制する!歯の健康と長生きの気になる関係

「歯医者さん」とのよいお付き合いは、歯の健康だけでなく、全身の健康を保つためにも有効です。歯周病はほかの病気とも深く関わっていることが近年の研究で分かっていますし、定期的に歯科医院に通うことでほかの疾患の発見につながるケースもあります。丸の内歯科医院・院長の永森司先生に、歯の健康と長生きの関係について伺いました。「telling,」の読者の皆さんが、おばあちゃんになっても元気でいられますように。

自分の虫歯・歯周病リスクに応じて歯科医院を受診し、メンテナンスをしてもらう。つまり「かかりつけ歯科医」を持つということは、人生100年時代を健康で幸せに生きるために不可欠です。都内で高齢者の実態を調べたところ、かかりつけ歯科医がいる人は長寿で、介護認定を受ける率が低いことも分かっています。

歯周病は糖尿病や心疾患の原因か

このほか、かかりつけ歯科医との良好な関係により、高齢者にとっては生活自立度が高い、セルフケアの意識が高い、出かける機会が多いなどのメリットがあると分かっています。歯の健康と体の健康は直結している。当然ですね。よくかんでおいしいものを食べられることにより、丈夫な体になるのですから。元気だと気持ちも前向きになります。心身は、健康な歯によって、健康になるのです。

聖路加国際病院名誉院長だった日野原重明先生は、2017年7月に亡くなられましたけれど、105歳と長寿でしたね。日野原先生は生前、「高齢者に『健康に関して後悔していること』を聞くと、早くから歯の検診を受ければ良かったとおっしゃいます」と話しておられました。「たかが歯」と思ってはいけません。歯周病になると、その菌が全身を巡ってインスリンの活動に障害を起こし、糖尿病の原因になることが分かっています。

海外の研究発表では脳内で動脈瘤破裂を起こした患者の患部から歯周病菌が見つかったとか、心疾患で亡くなった患者の心臓から口内細菌が見つかったとの報告もあります。

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