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メタボリックシンドロームの未病を科学的に検出

富山大学は2019年6月25日、動的ネットワークバイオマーカー理論(DNB理論)に基づくデータ解析により、メタボリックシンドロームの未病を科学的に検出したと発表した。同大学准教授の小泉桂一氏らと東京大学の共同研究グループによる研究成果だ。

 未病とは、健康と病気の間の状態を指す。今回の研究では、既存の基準では病気とは診断されないが、発症の危険が非常に高くなっている状態と定義付けた。

 この未病を科学的、定量的に検出するため、共同研究グループはDNB理論を用いた。DNB理論は生体信号の揺らぎに着目して疾病発症の予兆を検出するための数学理論だ。DNB理論の数理解析では、健康な状態から病気の状態へと移る直前に、一部の関連した生体信号の揺らぎが大幅に増加すると予測されていることから、揺らぎが大幅に増加した時点が未病の状態と考えられる。

 そこで、メタボリックシンドロームを自然発症するマウスを飼育し、脂肪組織における遺伝子の発現量を3週齢から7週齢まで1週間おきに、マイクロアレイ法にて網羅的に測定した。

 次に、DNB理論に基づいてデータを解析し、測定期間内に揺らぎが増加した時点があるか調べたところ、マウスがメタボリックシンドロームを発症する以前の5週齢の時点で、揺らぎが大きく増加した147個の遺伝子を検出した。

 DNB理論はこれまで主に急性疾患に対して用いられてきたが、今回の研究で、メタボリックシンドロームのように緩やかな時間変化をたどる慢性疾患にも応用できることが分かった。この研究成果は、今後、病気の効果的な予防や先制医療への活用、ひいては認知症や加齢による筋力低下や虚弱などへの応用が期待される。

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