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暑さに弱い臓器「心臓」|新たに注目を集める心臓病のリスク「酸化変性LDLコレステロール」とは

暑さが日に日に増し、夏が近づいてきています。暑い夏は体温が上昇しやすく、脱水や熱中症になりやすくなります。これらは全身の血流と密接に関連し、血液循環の要である心臓にも負担がかかります。夏の暑さはどのように心臓に負担をかけるのでしょうか? また、心臓のリスクはどのように自覚すべきでしょうか?

■心臓は2つの「脱水」に弱い

「脱水」とは体内の水が少なくなることを意味しますが、体のどこで水分が失われるかが重要です。一般的に脱水は「血管の中」の脱水(=血管内脱水)と、「血管の外」の脱水(=細胞内脱水)に大別されます。英語でもこれらを区別して単語が存在しており、脱水と一言で言っても、血管内脱水を「volume depletion(ボリューム・デプリション)」、細胞内脱水を「dehydration(デハイドレーション)」と呼びます。
暑さで血管内脱水が進むと、血管内に血栓が出来やすくなり、狭心症や心筋梗塞や脳梗塞などの重大な病気の原因となります。さらに、細胞内脱水が起こると、不整脈が誘発されやすくなり、脳梗塞など生命を脅かす影響や重大な後遺症を残すことさえあります。(*1)

■特に、心臓にリスクを抱える方は暑さに注意!

心不全など心臓にすでに病気を抱える方は、さらに脱水の影響を受けやすくなります。心不全の治療には、血圧を下げる薬や尿を出しやすくする薬、ナトリウムを体外に排泄する薬が用いられます。このような薬を内服している場合、少しでも汗をかくと塩分不足・脱水になり、心不全が悪化しやすくなります。
また、これからの季節、気温が高くなると皮膚表面からの熱の放出が難しくなり、熱中症になりやすくなります。さらに、湿度が高いと汗はたくさん出ますが、汗の蒸発量が少なくなり体温を下げることができなくなります。このような環境下では、多量の発汗が持続的に起こり、心臓のポンプ機能に余裕のない方は容易に体液不足に陥ってしまい、熱中症になりやすくなってしまうのです。(*2)

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