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大腸がん「発見時期」で分かれる明暗、ステージ1なら5年生存率90%超
2人に1人ががんになるといわれる現代。がんの中で男女を合わせると日本で最も患者数が多いのが大腸がんです。雜賀智也(著)・高橋慶一(監修)の書籍『大腸がん 最新標準治療とセカンドオピニオン』から、早期の直腸がんの後遺症のリスクについてお伝えします。
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みなさんは、大腸の内視鏡検査を受けたことがありますか?
「恥ずかしいから受けたくない」「すごく痛いっていう話を聞いた」「下剤をいっぱい飲むのは大変そう」「時間がかかる検診は面倒くさい」「変なものが見つかると怖いから受けない」
わかります、わかります。私自身がそうでした。大腸の検査なんてまっぴら御免だと思っていたのです。それに、大腸がんって見つかっても命に関わるイメージがありませんよね。
実際、5年生存率はステージIで91.6%、ステージIIで84.8%。大腸がんは、早期発見すれば非常に治療成績のよいがんなのです。● 大腸がんで亡くなる人は 年間どれぐらいか?
ところががんによる死亡数は、女性では大腸がんが一番多く、2017年には2万3347人が命を落としています。男性の場合は、胃がん、肺がんに次いで3番目ですが、それでも同年、2万7334人の方が大腸がんで亡くなっています。男女合わせると1年間に約5万人、これは、肺がん約7万4000人に次ぐ多さになっているのです。
治療成績を考えれば、早期発見できていれば命が助かったケースも多いでしょう。私の場合は、たまたま胃の調子が悪くて診てもらった胃腸科で、「あなたの年齢なら大腸がん検診も受けた方がいい」と強く勧められて、しぶしぶ大腸内視鏡検査を受けた結果、悪性腫瘍を早期発見できました。
40歳以上の方は、本記事を読んだことをきっかけに、大腸の内視鏡検査を受けてみることをお勧めします。痛みが苦手な人は、鎮静剤を使う施設を選べば、眠っている間に検査が終了します。
● がん患者数が最も多いのは 大腸がんである
今回は、大腸の早期がんについてのお話です。今は2人に1人ががんになるといわれる時代です。大腸がんは、日本で最も患者数が多いがんですから、誰にとっても他人事ではありません。
早期の大腸がんで、患者が難しい判断を迫られるのは内視鏡手術。腫瘍そのものは取り除けたものの、再発や転移の予防のために追加外科手術を勧められるようなケースです。
がんの分類方法の中に「T分類」といって、がんの根っこの深さ(壁深達度)を表す方法があります。
大腸の腸管は、内側より粘膜、粘膜下層、固有筋層、漿膜(しょうまく)下層、漿膜で構成されています(ただし、下部直腸には漿膜はありません)。
T分類では、がんが粘膜内にとどまっている状態を「Tis」、粘膜下層に到達している状態を「T1」、固有筋層に到達した状態を「T2」、漿膜下層に到達した状態を「T3」、漿膜表面に露出した状態を「T4a」、他臓器にまで浸潤している状態を「T4b」と呼びます。「Tis」「T1」の状態のがんは早期がんと呼ばれます。
粘膜内がん(Tis)や、粘膜下層への浸潤が1mm未満の軽度浸潤がん(T1a)では、リンパ節転移の可能性はほとんどないことがわかっていますが、粘膜下層への浸潤が1mm以上の深部浸潤がん(T1b)では、リンパ節転移が12.5%あるという統計があります。リンパ節転移から再発の恐れがあるということで、T1bのケースは治療ガイドラインでリンパ節を含めて切除する追加外科手術が推奨されています。1/2ページ