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アルブミン製剤、栄養補給などで適正使用を-厚労省が血液製剤の指針改定へ(医療介護CBニュース)
厚生労働省は、血液製剤の使用指針を改定することを決めた。栄養補給や手術で使用されている血液製剤のアルブミン製剤に関しては、重症の頭部外傷や急性脳梗塞の治療で使う場合の留意点に加え、炎症性腸疾患の患者でアルブミンの値が低下した場合、アルブミン製剤ではなく栄養療法による対応が望ましいことを記載。症状に合わせて血液製剤を適正に使用することを求める。【新井哉】
アルブミンは、肝臓で合成されるタンパク質で、血液中の血清に多く含まれ、血液の浸透圧などを調整する役割を担っている。基準値よりも低ければ、栄養状態が低下しているとみなされ、栄養指導の対象になることも少なくない。また、アルブミンの低下に伴い浮腫や腹水、むくみといった症状が出ることもある。
厚労省は、18日に開かれた薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会の適正使用調査会で指針の改定案を示した。改定案には、鼻から胃にチューブを入れる経腸栄養法などによるアミノ酸の投与とエネルギーの補給が「栄養学的にタンパク質の生成に有効」と記載。炎症性腸疾患患者の低アルブミン血症に関しては、低栄養や炎症、腸管からのタンパク質の漏出などによって生じることや、治療や栄養療法で対応する必要性を挙げ、「アルブミン製剤の投与は控える」とした。
また、アルブミン製剤の使用上の注意点として、血漿中のアルブミンと同じ範囲の値で調整されている「等張アルブミン製剤」を大量に使用した場合、ナトリウムが多くなり負荷がかかる恐れがあることなども記載。重症の頭部外傷や急性脳梗塞の初期治療に関しては、循環する血漿量の低下時の治療にナトリウム濃度が血漿のナトリウム濃度とほぼ同じ「細胞外液補充液」を使うことを推奨しており、「等張アルブミン製剤」の使用は「患者の生命予後(生命が維持できるかの予測)を悪化させる危険性があるから投与しない」とした。
厚労省は今週中にも改定案に関するパブリックコメントを募集し、指針の改定版を3月末までに公表する予定。