介護・医療関連ニュース

がん精検受診率「目標100%」で大筋合意-次期基本計画で、厚労省WG(医療介護CBニュース)

厚生労働省は29日、「がん検診受診率等に関するワーキンググループ」(座長=斎藤博・国立がん研究センター社会と健康研究センター検診研究部長)で、これまでの議論を整理した報告書案を示した。来年6月に閣議決定を目指す第3期のがん対策推進基本計画(基本計画)で、がんに罹患しているかどうかを詳細に調べる精密検査の受診率の目標値を「100%」とすることを提案し、大筋で合意を得た。一方、市区町村間で比較可能ながん検診の受診率の算定方法も示したが、委員から修正を求める意見が出たことから、座長預かりとなった。【松村秀士】

 現行の第2期基本計画では、がん検診の受診率の目標値を50%以上と定めているが、精密検査の受診率に関する目標値は明記されていない。

 また、厚労省が公表した2013年度の「地域保健・健康増進事業報告」によると、がんの種類ごとの精密検査の受診率は、胃がんで79.4%、肺がんで78.7%、大腸がんで65.9%、子宮頸がんで70.4%、乳がんで84.6%という。

 こうした状況を踏まえ、同省が昨年12月に取りまとめた「がん対策加速化プラン」では、具体的な対策として、「検診受診率のみならず、精密検査受診率等についても目標値を設定する」とした。

 29日の会合で示された報告書案には、がんによる死亡者を減らすため、検診の未受診者らを減らして精密検査の受診率を向上させる必要があると記載。その上で、次期基本計画での精密検査の受診率の目標値を「100%に定めるべき」とした。

 また、市区町村の間で受診率を比較できるよう、検診受診率の算定方法も提示。具体的には、国民健康保険(国保)の被保険者のうち、市区町村が実施するがん検診を受診した人の割合とするのが「適切」とした。

 さらに、職域でのがん検診については現状、検診を行う事業所が対象者や受診者を把握していない場合もあることから、産業医などの関係者の意見を踏まえつつ、対象者や受診者を把握できる仕組みを構築する必要性も指摘した。

 意見交換では、次期基本計画で精密検査の受診率の目標値を100%とすることに対して、異論はなかった。ただ、市区町村間で比較可能な検診受診率の算定方法に関しては、委員から、「国保の被保者以外の人がどれだけ受診しているかを記載する必要がある」などの意見が出た。この日の意見を踏まえ、厚労省は報告書案を修正した上で、各委員に提示し、最終的に斎藤座長が事務局と協議して報告書として取りまとめる。