介護・医療関連ニュース

アルコール対策、医療拠点整備でガイド本-内閣府が都道府県に配布へ(医療介護CBニュース)

アルコール健康障害対策推進基本計画を加速させるため、内閣府は、都道府県版の計画を策定する際に参考となるガイドブックを作成することを決めた。国の計画で、アルコール依存症に対して適切な医療を提供できる専門医療機関をすべての都道府県で1カ所以上設置することを目標として掲げたことなどを受けた措置。9月以降、各都道府県の関連部署にガイドブックを配布する予定。【新井哉】

 基本計画では、アルコール依存症の生涯経験者(診断基準の該当者・過去の該当者)が100万人を超えるとの報告があることなどに触れ、「飲酒をしていれば、誰でもなる可能性がある」とし、治療につなぐための体制整備を重点課題として明記。都道府県が、アルコール依存症に対して適切な医療を提供できる専門医療機関と相談拠点をそれぞれ1カ所以上設置するとしていた。

 また、2016年度から20年度までの基本計画の期間中に、健康障害に関する予防から相談、治療、回復支援までの切れ目のない支援体制の構築や、飲酒のリスクに関する知識の普及について、重点的に取り組む方針を提示。「地域における課題を把握し、その解決に向けた目標を設置し、施策を明示することが重要」とし、都道府県ごとに健康障害対策推進基本計画を策定することも求めていた。

 ただ、都道府県の中には、アルコール依存症に対応可能な医療機関が少ない医療圏があるほか、専門医や専門スタッフの人員体制や政策立案能力についても自治体間で格差があるのが実情だ。

 計画案の段階で行ったパブリックコメントでは、計画について具体的に解説したガイドラインの作成を求める意見が出ており、計画案をまとめた関係者会議で事務局を務めた内閣府の担当者も「都道府県計画の策定を促していくことが非常に重要」として自治体に働き掛ける考えを示していた。

 こうした状況などを踏まえ、内閣府は、専門医療機関の設置などの対策を促すためには、ガイドブックが必要と判断した。都道府県が関与する専門医療機関に加え、専門家や患者の家族らからの意見聴取の方法、保健所や市町村の役割などに関する解説が盛り込まれる見通し。