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薬飲まない認知症の人、看護職はどう対応?-日看協がガイドブック作成(医療介護CBニュース)
日本看護協会(日看協)は、認知症ケアにかかわる看護職向けのガイドブックを作成した。認知症の病態の基本的知識や日常生活のアセスメント、家族への支援などについて解説。説明を繰り返しても薬を飲まない認知症の人に対しては「何度も薬を勧めず、時間を置く」といった対応方法を促すなど、効果的なケアの手法やポイントを示している。【新井哉】
認知症のケアをめぐっては、認知症の高齢者の増加に伴い、看護師が病棟だけでなく、訪問看護の現場で対応する機会も増えている。また、家族支援などを包括・集中的に行って自立生活を支える「認知症初期集中支援チーム」に看護師が加わるなど、地域包括ケアを進める上で看護職が果たす役割が重要視されている。
日看協は、2006年から認知症看護認定看護師の審査を始めるなど、認知症の看護ニーズに対応してきた。昨年6月に開かれた全国看護師交流集会で、坂本すが会長が認知症看護のケアガイドを作成すると表明。多くの専門家の協力を得て、初歩的な知識から最新の政策、ケアや地域連携の実例までを網羅するガイドブックを完成させた。
ガイドブックは「認知症疾患と治療」や「認知症ケアにおける倫理」、「多様なケアの場における認知症ケアマネジメント」、「認知症者と家族への支援」など9部で構成。例えば、「認知症の症状アセスメントとケア」の部では、アセスメントツールとその活用方法や、認知症機能障害のアセスメントとケアなどを取り上げて説明している。
その中では、「点滴の実施を承諾したのに、処置の際に拒否する」といった事例を示し、「説明した後、どれくらいの時間が経つと忘れてしまうのかをチームで把握し、その状態に応じて順序立てて説明する必要がある」などとケアのポイントを提示。それぞれの患者に合わせたケアの方法を見つけて援助していく必要性を挙げ、「失敗も成功も経験であり、今後自分の豊かな知識と技術になる」と説いている。