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看護教育、「抜本的改革に力を尽くす」-日看協・坂本会長(医療介護CBニュース)
日本看護協会(日看協)の坂本すが会長は、21日に開いた記者会見で、「看護教育の抜本的改革に力を尽くす」とし、基礎教育の4年制化への理解を国や関係団体などに求める考えを改めて示した。【松村秀士】
3年制の看護教育をめぐっては、2009年にカリキュラムが改正され、「看護の統合と実践」といった分野が追加されたが、教育の総時間数は1989年のカリキュラム改正時と変わらなかった。そのため、分野ごとにかかる講義や演習、実習の時間数が減り、看護実践に必要な教育が行われないケースもあることから、臨床経験が1年未満の看護師の能力不足による医療安全上のリスクが高まることを懸念する声もある。
日看協によると、2014年に報告のあった、看護師が関与したとされるヒヤリ・ハット事例2万7393件のうち、経験年数1年未満の看護師が関与したとされるものが5820件あり、全体の21.2%を占めた。
21日の会見で坂本会長は、「医療が複雑化・高度化する中で求められる技術や判断力、調整力を身に付けるには、現状の時間数では足りない」とし、現行の3年制の看護教育を4年制にすることに注力する考えを示した。
坂本会長はまた、保健師助産師看護師法で、看護師国家試験の受験条件の1つとして、「文部科学大臣の指定した学校において三年以上看護師になるのに必要な学科を修めた者」とされていることに触れ、「法律改正なくして4年制は実現しない」と指摘。国に対して、同法の改正を求める考えも示した。
■特定行為できる看護師、「19年までに約1000人養成が可能」
坂本会長は、11月から今年度の「特定行為研修」を実施することも明らかにした。この研修は、医師がそばにいなくても、あらかじめ定められた手順書に従って特定の診療の補助(特定行為)を行える看護師を養成するもので、日看協では認定看護師を対象としている。
チーム医療などを担当する洪愛子常任理事は、特定行為ができる看護師について、「(日看協の研修によって)19年までに1000人程度養成できる」とした。
特定行為研修の修了者について、厚生労働省は団塊の世代が後期高齢者となる25年までに、10万人以上に増やす方針を示している。