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自宅近くに食料品店がないと認知症リスク高まる 高齢者5万人を調査

自宅近くに食料品店が「全くない」と答えた高齢者は、「たくさんある」と答えた高齢者より認知症リスクが1.7倍高い――。日本老年学的評価研究機構は18日、こんな研究成果を発表した。店を選んだり献立を考えたりする刺激が、認知機能に良い影響をもたらしていると推測されるという。論文は国際学術誌に掲載された。

 東京医科歯科大の谷友香子助教(公衆衛生学)らのチームが2010年から3年間、愛知県や北海道など全国の15市町に住む要介護認定を受けていない65歳以上の高齢者約5万人を追跡調査した。

 「家から1キロ以内に新鮮な野菜や果物が手に入る商店・施設はどれくらいあるか」と質問し、「たくさんある」「ある程度ある」「あまりない」「全くない」の四つの選択肢を用意した。3年間で認知症になったのは、「たくさんある」と答えた高齢者が4.8%だった一方、「全くない」と答えた高齢者は9.9%だった。

 年齢や性別などの影響を調整した後の認知症リスクは、「たくさんある」に比べ、「ある程度ある」が1.2倍、「あまりない」が1.4倍、「全くない」は1.7倍となった。一方、飲食店やコンビニ、公民館についても類似の調査をしたが大きなリスク差は見られなかったという。

 谷助教は「買い物に行く機会を持つことが認知症予防に重要。近くに食料品店が多くあることで外出頻度や歩行時間も増え、運動不足や社会的孤立などのリスク要因が間接的に低下しているのだろう」と推測している。【川瀬慎一朗】