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ちゃんと磨けてる人は1~2割!? 歯周病にならない歯磨きのコツ
渡辺専門委員の「しあわせの歯科医療」
みなさんも毎日、歯磨きをしていると思いますが、ちゃんと磨けているという自信はありますか? 筆者も歯磨き歴50年以上のベテランですが、歯周病が気になって今さらながらこの1年ほど、気合を入れ、お金も使って歯のお掃除を学び直してきました。改めて知ったのは、歯磨きには思いのほかコツが必要ということです。
大学病院を退職し、町で診療をするようになったベテラン歯科医に先日会ったら、「指導をしてもちゃんと磨けているのは、10人に1人か2人。歯磨き指導は難しい……」と、こぼしていました。えっ、そんなに多くの人が磨けていないの!と驚いて、歯科医に会い、患者の歯磨きについて尋ねてみると、「指導をしても1、2割の方はどうしてもうまく磨けません」という自費診療中心の歯科医もいれば、「できているのは半分ぐらいです」という人も。患者の層や判断基準も違うのでしょうが、筆者同様、拙い人も相当数いるはずです。虫歯や歯周病をこじらせるということは、ちゃんと磨けていないわけですから。
では、ちゃんと磨けるとはどういうことなのか。歯科医や歯科衛生士さんの指導を受け、日々、実践しながら考えました。3種類の“歯垢溜まり”を掃除する
歯磨きには、お茶の汚れを取るとか、白くするといった審美的な目的やエチケットもあると思いますが、ここでは虫歯や歯周病の予防や改善のための歯磨きを考えます。食べかすも掃除しますが、最大の目的は、細菌の固まり(歯垢=プラーク)、つまり、白い歯糞(はくそ)を取り除くことです。細菌がたまりやすい場所は大きく3種類あります。
〈1〉歯と歯茎の境目:歯垢が一番たまるのはここ。歯の襟巻きのように歯茎との隙間にたまります。
〈2〉歯と歯の間:歯ブラシでは掃除しきれず、フロスや歯間ブラシが必要です。
〈3〉奥歯のかみ合わせの溝:特に子どもの虫歯はここからできます
歯科医らの指導をまとめると、こうなります。これら3種類の“歯垢溜まり”をきれいにするのが歯磨き、お口の掃除です。「歯磨き」という言葉には、歯そのものをツルツルに白く磨くというイメージはありませんか。歯の表面は磨かなくても舌やほおと接触してこすれるので歯垢はあまりたまらないそうです。歯磨きの狙いは、歯茎の際や歯の隙間なのです。
歯磨き剤をたっぷりつけて、ぎゅっと握って、歯面をゴシゴシこすると、口の中は泡だらけになり、うがいをすればさわやかな感じはしますが、肝心な歯垢溜まりは素通りかもしれません。磨いた気になるけど、磨けていないことになります。「そういう人、多いですよ」と歯科衛生士さんから聞きます。そして、歯ブラシでは歯垢の6~7割程度しか掃除できないとも言われました。歯垢を落とすためには、フロスや歯間ブラシはどうしても必要です。お口の掃除が上手な人は、歯垢溜まりの掃除がきちんとできているのです。1/4ページ