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「新型多機能サービス」の制度化などを提案-地域包括ケア推進研準備委が提言書(医療介護CBニュース)

先駆的な介護サービスを提供する法人の代表らで組織する「地域包括ケア推進研究会準備委員会」は20日、2018年度に予定される診療報酬・介護報酬の同時改定などを見据えた「提言書」を公表した。小規模多機能型居宅介護(小規模)や定期巡回・随時対応型訪問介護看護(24時間訪問サービス)などの特性を持ち合わせた「新型多機能サービス」の制度化などを要望している。【ただ正芳】

 同準備委は、地域包括ケアの普及と推進に尽力し、昨年3月に死去した高齢者総合ケアセンター「こぶし園」総合施設長・小山剛氏の政策理念を支持する有志が昨年8月に立ち上げた。その後、将来の介護保険制度改革を見据えつつ、当面、急務の政策について調査や議論を重ね、提言書を取りまとめた。

 提言書では、小規模と24時間訪問サービスは、利用者像や利用形態が似通ってきていると指摘。在宅系サービスの既存制度はすべて維持した上で、要介護3以上の中重度者を対象に、訪問や通いを中心に泊まりも含めたサービスを柔軟に組み合わせる「新型多機能サービス」の制度化を提案した。

 同サービスでは、小規模のような登録定員の上限は設定しないほか、利用者が増えた場合は、通いのためのサテライトも設けることも想定している。

 さらに提言書では、「新型多機能サービス」と併せて、要介護2以下の人も対象とした訪問介護や訪問看護なども提供する「地域居住総合支援拠点」を整備することも提案。こうした事業を、スピード感を持って展開したり、キャリアパスを明示した人材育成を実現したりするには、「法人類型を問わずその経営規模を拡大していくことが望まれる」とした。

■人材不足への対応「月額給与の大幅な引き上げなどを早急に」

 提言書では、深刻な人材不足により、建物は整備できたとしても、スタッフ不足のため開所に至らない事例が、首都圏などで増加していると指摘。その解消に向け、介護人材の専門性・業務内容・地域性などの実態に即した、月額給与の大幅な引き上げなどを早急に実現すべきとしている。