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ノロウイルス:流行の季節 手洗いなど予防呼び掛け

ノロウイルス流行の季節がやって来る。4日には名門大洋フェリー「フェリーふくおか2」の船内レストランで長崎県の中学生100人が下痢や吐き気などの症状を訴え、中学生23人と調理従事者1人からウイルスが検出された。子供やお年寄りが重症化すると、死亡するケースもあるノロウイルス。ワクチンがなく、治療は対症療法に限られるため、予防対策の徹底が重要となる。

 2012年12月、宮崎県日南市の病院で入院患者ら44人が発症し、うち高齢の男性患者6人が死亡した。ノロウイルスが原因とみられている。16年2月には、競輪選手が次々に感染性胃腸炎とみられる症状を訴え、北九州メディアドーム(小倉北区)で予定されていた「小倉競輪」が中止に。少なくとも選手10人が病院へ行き、うち4人が入院。病院でノロウイルスが検出された。屈強な競輪選手もウイルスには勝てなかったようだ。

 ノロウイルスは通常1、2日の潜伏期間を経て発症する。主な症状は下痢、吐き気、腹痛などで、風邪の症状とよく似ている。大抵が経口感染で、感染した調理従事者によって汚染された食品や、汚染されていた二枚貝を加熱不十分のまま食べた場合などに感染する。1年を通じて発症の恐れがあるが、10月ごろから発生件数は次第に増え、12、1月にピークを迎える。

 予防は手洗いと消毒だが、加熱処理が有効な手段。二枚貝などの食品の場合は、中心部を85~90度で90秒以上加熱する。まな板、包丁、食器、ふきん、タオル等は85度以上の熱湯で1分以上の加熱を。手洗いは、調理前(飲食業者は食事提供前にも)や食事前、トイレの後、下痢などの患者の汚物処理やオムツ交換などをした後に必要。手袋をして直接触れないようにしても手洗いはすべきだという。

 北九州市東部生活衛生課は「流行期に向け、注意が必要。調理従事者はトイレ後や調理前には2度の手洗い励行を」と呼び掛けている。【山本泰久】

◇北九州市内で近年発生した主なノロウイルス感染事例

2018年1月 小倉北区の病院で入院患者8人と職員4人に症状

2016年12月 八幡西区内のホテルで忘年会をした158人に症状

2016年12月 小倉南区の幼稚園で園児計43人と職員2人が感染

2016年2月 小倉競輪出場選手の少なくとも10人が病院へ行き、うち4人が入院。小倉競輪は中止に

2014年2月 八幡東区の市立小学校で児童・教職員計128人に症状。うち児童1人が入院

2013年2月 小倉北区の高齢者施設で入所者と職員の計25人に症状。経過観察で7人が入院