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【デキる人の健康学】夕食が睡眠の質を決めている 日本食がオススメ(産経新聞)
昔から睡眠時間と寿命が関連していることが知られている。1980年代にアメリカで100万人以上を対象ににした調査研究でカリフォルニア大学のダニエル・クリプペ博士は1日に6.5~7.5時間の睡眠を取っている人が最も死亡率が低く、それ以下でもそれ以上でも死亡率が上昇することを明らかとした。
日本の調査研究でも40?79歳の男女約10万人を10年以上に渡って追跡調査した結果、日本人の平均睡眠時間は男性7.5時間、女性7.1時間で、死亡率が最も低かったのは、男女ともに7時間の睡眠を取っている人であることが報告されている。
しかしながら、睡眠時間が十分に確保されても質の悪い睡眠だったら健康効果は期待できない。個人的経験からも夕食の内容がその日の睡眠の質に影響を与えることは感じていたが、夕食と睡眠の関係に関してはこれまでは詳細には研究されていなかった。
そんな中、米国コロンビア大学の医療センターのマリー・ピエール・オンジュ博士らの研究グループは夕食の食物繊維、飽和脂肪酸と糖質の量が睡眠の質に影響を及ぼしていると報告し話題を呼んでいる。
研究チームは平均年齢35歳で標準体重を保っている成人男女26人を対象に糖質、脂肪酸、食物繊維などの栄養素が管理された食事を4日間摂取させた。
被験者は平均7時間35分の睡眠をとり、5日目は自由な食事を摂取した。研究チームは毎日、睡眠ポリグラフィという測定装置で客観的睡眠データを収集し、3日目と5日目の睡眠の質を比較検討した。
その結果、夕食に含まれる食物繊維の量が多いと深い徐波睡眠の時間が長く質の良い睡眠が取れていることが判明した。しかし、飽和脂肪酸からのエネルギーの割合が高くなると睡眠の質が下がることが分かった。
また、糖質が多いと睡眠からの覚醒が多く質の良い睡眠が取れないことが判明した。カロリー控えめで糖質を抑え食物繊維の多い日本食が良い睡眠にはお勧めだ。
■白澤卓二(しらさわ・たくじ) 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。1990年より2007年まで東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダー。2007年より2015年まで順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。2015年より白澤抗加齢医学研究所所長。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など300冊を超える。