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メマンチンは脳インスリンシグナルを改善する -アルツハイマー病の糖尿病仮説の実証-(東北大学)

東北大学大学院薬学研究科の森口茂樹講師、福永浩司教授らの研究グループは、アルツハイマー病治療薬であるメマンチンが脳インスリンシグナルを改善することを発見し、公表しました。

 

メマンチンは、脳に局在するNMDA受容体を阻害し、グルタミン酸による興奮性神経伝達の過剰興奮を抑え、シナプス伝達ノイズを除去する作用があるアルツハイマー病治療薬です。
(アリセプトなどのコリンエステラーゼ阻害剤とは働きが異なります。)

 

今回の研究において、メマンチンが脳内インスリンシグナルに関わるATP感受性カリウムチャネル(Kir6.1/Kir6.2 チャネル)を阻害することを発見したとのことです。

 

ATP感受性カリウムチャネルとは、糖尿病治療薬であるスルホニル尿素系薬剤が作用するカリウムチャネルで、このカリウムチャンネルを阻害することでインスリンの分泌を促進させる働きがあります。

 

この研究では、アルツハイマー病治療薬メマンンチンが脳のインスリンシグナルを改善することを示し、今後のアルツハイマー病の新規治療薬の開発に大きな可能性を与えるそうです。

 

アルツハイマー病が脳内インスリンシグナルの破綻(脳の糖尿病)であるという仮説を実証する第一歩になり、
実際、メマンチンは糖尿病モデルマウスの血糖値を低下させ、認知障害も改善します。
この発見により「脳糖尿病仮説」を背景としたアルツハイマー病の新規治療薬の開発が期待できます。

 

詳細は、東北大学プレスリリースをご覧下さい。

https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2016/11/press20161104-02.html