介護・医療関連ニュース
-
「未病」数値化に成功 富山大教授ら科学的に検出
富山大和漢医薬学総合研究所(富山市杉谷)の門脇真教授(消化管生理学)らでつくる共同研究チームは24日、健康と病気の中間点ともいえる「未病」の状態を数学理論に基づくデータ解析で科学的に捉えることに成功したと発表した。将来的には予防的医療にもつながる成果として、同日、英国科学誌「Scientific Reports」でオンライン公開された。
「未病」は二千数百年前に書かれた中国最古の医学書「皇帝内経」にも記載されるほど古くから認識されているが、概念的なものに限られ、科学的な裏付けはなかった。そこで研究チームは、血圧や心拍数など生体信号の“揺らぎ”によって疾病発症の予兆を検出する数学理論「DNB理論」を活用し、5年前から研究していた。
実験では、メタボリックシンドロームを生後8週以降に自然発症するマウスを使用。発病する前の3~7週まで1週間おきに脂肪組織を遺伝子解析した。
その結果、5週目のマウスの遺伝子147個で遺伝子発現量の揺らぎが、通常の3~4倍と大きく増加していることが分かった。
メタボリックシンドロームのように緩やかな時間変化をたどる疾患の中には、アルツハイマーなどの認知症なども含まれ、将来的に人への応用が実現すれば、超高齢化社会を迎えた日本で、患者の減少にもつながることも期待される。
チームの一員でもある富山大の斎藤滋学長は「予防的、先制的医療ができるようになれば、次世代の医療を目指すには大きな成果だ」と話した。【青山郁子】