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日本初の「自動車運転外来」MRI検査で潜在的認知症を発見

高齢ドライバーによる暴走事故が相次ぎ、「高齢者は免許を返納すべき」という空気が広まっている。だが、代替交通手段の多い都心ならいざ知らず、地方で車は“生活必需品”だ。運転を続けるのか、やめるならいつ、何をきっかけにやめるのか。超高齢社会が抱える難問に挑む病院を取材した。

【図解】自動車運転外来、受診したらどうなる・・・?

◆「認知症が進むのは嫌」

「ここは住宅地が郊外に散らばっていて、バスなどの公共交通は幹線道路にしかない。妻と2人暮らしで、車がないと病院や買い物にも行けません。免許返納できるものならしたいけど、地方では車がなければ生きていけない」

 地方都市の郊外に住む75歳の男性はそう漏らした。

 相次ぐ高齢ドライバー事故を受け、自身、あるいは老親が“ハンドルを握り続けていいのか”という悩みを抱える人は少なくない。その高齢ドライバー問題に正面から向き合おうとする施設が高知市内にある。高知駅にほど近い繁華街の一角にある愛宕病院では、日本初の「自動車運転外来」が2017年10月から開設されている。

 この外来が他と大きく異なるのは、院内で認知機能の診断から運転能力向上のリハビリまでセットで受けられる点だ。

 運転外来の開設に至った経緯について、担当医師で脳神経外科医の朴啓彰氏(高知検診クリニック脳ドックセンター長)はこう語る。

「もともとは警察からの依頼で認知機能検査をしていました。なかには判断がつかないケースがあり、3か月後、半年後に再検査するのですが、『その間に認知症が進むのは嫌だからリハビリを受けたい』という患者が出てきたのをきっかけに、外来をつくりました」

 外来には「認知機能が低下している」として高知県警から受診を課された75歳以上のドライバーに加え、認知機能低下に不安を感じたり、家族に受診を促された高齢ドライバーが訪れる。

◆同年齢でも事故リスク3倍に

 現在、運転免許の更新において、70歳以上は高齢者講習、75歳以上はさらに認知機能検査を受講する必要があるが、同院の診断ではペーパーテストだけではなく、MRIによる脳の検査も実施する。

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