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「認知症のトップドクター」が始めた画期的予防&治療法のすごい実力
従来の脳ドックでは「不十分」なワケ
がんが治る病気とされ始めた時代から、高齢化社会の突入で認知症が注目される時代になってきた。厚生労働省によると、すでに65歳以上の高齢者の5人に一人が認知症、及び認知症予備軍の軽度認知障害とされ、患者は高齢化が進むとともに急増し、2025年には730万人に達すると推定している。
認知症は全世界的にも急増し、2017年の約5000万人から2030年には8200万人、2050年には1億5200万人に達すると推定されている(世界保健機関)。まさに、認知症は現代人が緊急に克服しなければならない重大な病気なのである。
認知症にはアルツハイマー型、血管性、レビー小体型、前頭側頭型といった様々なタイプがあるが、そのうち全体の6割以上を占め最も多いのがアルツハイマー型認知症だ。
しかし、現時点ではいずれの認知症も根治させる治療法や治療薬は見出せずにいる。
こうした治療困難な認知症の予防、治療で最先端のプロジェクトが動き始めた。東京駅丸の内にオープンした「アルツクリニック東京」だ。
「日本のリーダーの頭脳を守りたい」との使命から脳ドックシステムを開発したのは、同クリニックで認知症治療を行う新井平伊医師だ。新井医師は今年3月まで順天堂大学大学院教授で、同付属順天堂医院メンタルクリニック診療科長を務めていた。アルツハイマー病研究では世界的に知られた名医であり、日本の認知症治療の第一人者だ。4月から、このアルツクリニック東京の院長を務める。
これまで認知症のチェックは脳ドックによる診断が一般的だったが、同クリニックでは先進の脳ドックシステム「健脳ドック」で画期的な認知症の予防、治療を行っている。
新井医師は、従来の脳ドックによる認知症MRI診断についてこう指摘する。
「認知症の予防で脳ドックのMRIが日本中の施設で行われていますが、従来の脳ドックで発見できるのは、くも膜下出血の原因になる脳動脈瘤と、脳血管障害(脳梗塞や脳出血)が主なので、認知症の2割にあたる血管性認知症が中心です。認知症原因の6割以上を占めるアルツハイマー病などでみられる脳の萎縮も発見できますが、それは発症し始めている段階です。つまり、MRIで確認できる脳萎縮は、アルツハイマー病になった手遅れの段階での発見になるため、一般の脳ドックでのアルツハイマー病の早期発見はできないということです」
アルツハイマ―型認知症の原因は、たんぱく質の「βアミロイド」が脳の神経細胞に蓄積されることで、神経細胞が死滅するためと言われているが、症状が出始めた段階でアルツハイマー病を発見するMRIでは、その予防策をとるには手遅れになるということだ。1/3ページ