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夏も怖い脳卒中 防ぐには?

教えて!ヨミドック

 ヨミドックが街を歩いていたら、インコさんに呼び止められました。聞くと、おじさんが倒れて大変だったようです。

 Q おじさんが脳卒中で倒れちゃった。「冬の病気」じゃないの?

 ヨミドック 一年中注意すべき病気です。脳卒中は、血管が詰まる脳梗塞(こうそく)、血管が破れる脳出血、くも膜下出血と三つに分けられます。一般に、心臓や血管系の病気は、寒さで血管が収縮し血圧も上昇する冬に多いといわれます。脳出血は確かに冬に多いですが、脳梗塞については研究者の意見が分かれています。

 Q ふーん。

 ヨ 国立循環器病研究センター(大阪)は昨年、「脳梗塞は秋がやや少ないが、季節差はなし」と発表しました。2015年まで5年間の入院治療データ約3000件を分析しました。寒暖で脳梗塞の原因が違うためとみられます。

夏も怖い脳卒中 防ぐには?

読売新聞社

夏季は「脱水」も引き金

 Q どう違うの?

 ヨ 寒い季節に多いとされるのは不整脈の一種である心房細動など心臓病を原因とするタイプ。心臓の血流がよどんで梗塞の原因となる血栓(血の塊)ができやすくなります。暑い季節に多いのは脱水状態が引き金となるタイプ。大量に汗をかくと血液中の水分が不足、血液の量も減って、血栓ができやすくなります。日本脳卒中協会は02年から、暑くなる前の5月25~31日を「脳卒中週間」と定め、啓発活動などを行っています。

 Q 注意点は?

 ヨ まずは水分の補給です。夏の脳梗塞は、睡眠中と起床後2時間以内が多いとされるので、寝る前と起床後にコップ1杯ぐらいの水を飲むことをお勧めします。心臓などに持病がある人は、飲む水の量を医師と相談してください。食事では塩分や脂肪の取りすぎに気をつけ、適度な運動を。それと、脳卒中の前触れ(前兆)がある場合もあります。

夏も怖い脳卒中 防ぐには?

ヨミドックは読売新聞の医療サイト・ヨミドクターのお医者さんキャラクターです

顔の片側が垂れ下がる、ろれつが回らなくなる…

 Q 前兆ってどんな?

 ヨ 顔の片側が垂れ下がる、目が見えにくくなる、片側の手や足に力が入らなくなる、ろれつが回らず言葉が出なくなる。これらに頭痛やめまいを伴うことも。一つでも気づいたら救急車を呼んでください。治療の遅れは命に関わります。また「症状がいつ始まったか」は治療上の重要な情報になります。

 (山田聡/取材協力=豊田一則・国立循環器病研究センター副院長、竹川英宏・独協医科大学病院脳卒中センター長)