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便秘外来の専門医が語る“腸に潜む危険”、便秘は万病リスクも
「腸内環境を整えて健康を維持する“腸活”がブームですが、『腸にいい』と思っていた習慣が、じつは腸の状態を不調にする原因だった、ということがよくあります。腸が健康でないと、肌荒れなど見た目に影響が出るだけでなく、精神的にもストレスがたまり、免疫力が下がって病気にかかりやすくなってしまうのです。人生100年時代ともいわれますが、健康寿命でいるためには、足腰だけでなく、腸の健康も欠かせません。正しい腸活を行って、消化と吸収、排泄がスムーズな“美腸”をキープすることが大切です」
松生クリニックの松生恒夫院長は、腸の健康の大切さをそう強調する。松生院長はこれまで4万件以上の大腸内視鏡検査を行い、“汚腸”の人を救ってきた便秘外来のスペシャリストだ。
いまの自分の腸内環境を次の「『美腸レベル』判定チェックリスト」で確認してみよう。該当項目が4個以上なら、すぐに食事や生活習慣を見直す必要がある。
□現在ダイエット中で、食事の量を減らしている
□就寝3時間前以内に食事を取ることがある
□外食が多く、コンビニ食・インスタント食品をよく食べる
□納豆やみそ汁、海藻類をほとんど食べない
□魚より肉を食べることが多い
□野菜は生のサラダを食べる
□ヨーグルトを1日200g以上食べる
□油はオリーブオイルよりもサラダ油をよく使う
□水分はあまり取らない(1日1リットル以下)
□便意をもよおしても我慢することがある
□おなかにガスがたまりやすく、下痢あるいは硬い便が出る
□排便が3日ないことも珍しくない
□睡眠時間は1日6時間以下で、運動が不足しがち
□性格上、ストレスを感じることが多い
□冷え性で頭痛や肩こりがひどい
□肌荒れやくすみが目立ち、肌にメリハリがない
【3個以下・美腸】
排便もスムーズで心も体もリラックスしている。腸にとって理想的な状態をキープできているが、加齢とともに腸の働きが衰えるので、いい状態を保つために努力しよう。
【4~10個・不腸】
便秘や下痢、ガス腹など、おなかの状態が安定していない。気がつかないうちに腸の働きが停滞気味になっている。食事や生活内容を改善することで、腸内環境や排便リズムが整う。
【11個以上・汚腸】
心理的、物理的なストレスがかかり、腸内環境がかなり悪化している。おなかの不快感が脳にも伝わって気分も優れない。このままでは大きな病気につながる危険もあるので注意!
「ベストな“美腸”の状態になるためには、毎日の朝食後に消化管の収縮活動“大蠕動”が起きて、スムーズな排泄が行われていることが不可欠です。ダイエットで朝食を抜いたり、食事の時間が不規則になるなど、生活リズムが狂うと大蠕動が起こらなくなります。また、腸に強いストレスがかかると交感神経が優位になり、腸を動かす腸管運動にブレーキがかかり、便秘の原因となってしまいます」(松生院長)
便秘は腸の老化を早めるだけでなく、万病のもと。便秘が長引くと、老廃物や毒素が体内にたまり、さまざまな病気リスクが増大してしまう。“腸美人”であることは、体の内部も見た目もイキイキと過ごすためのカギなのだ。
日本人の食生活の欧米化により、腸内環境が悪化して便秘になる人が増えている。大腸がんにかかる人も年々増え、がんで亡くなる人のうち、女性では大腸がんがもっとも多い(男性では3番目)。便秘になりがちという女性は気をつけたいところだ。
食生活のみならず、腸美人になるためには、ウオーキングなど体を動かすことを日課にするのも大事。そして、くれぐれもストレスをためないようにしたい。まずは美腸チェックリストであてはまったカテゴリーから1つ改善できるように心がけてみよう。