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アニサキス食中毒が急増 県内 発生原因の大半 昨年24件 夏場は注意

県内で寄生虫のアニサキスを原因とする食中毒が増えている。昨年、県内で発生した食中毒の件数は、過去10年間で最多となる26件で、このうち24件がアニサキスによるものだった。今年もこれまでの7件のうち、4件の原因がアニサキス。寄生虫のリスクに加えて、夏場は細菌も繁殖しやすくなることから、県は一層の注意を呼び掛けている。 (社会部・相川有希美)

 アニサキスは、体長約1~3センチの白い糸のように見える線虫。サバやアジ、イカなど人が食べる魚介類に寄生する。季節にかかわらず発生し、刺身などから人に感染。みぞおちの強烈な痛みや嘔吐(おうと)を引き起こす。

 県の食中毒の統計には、2017年に初めて原因として3件登場。昨年は、3~5月に初ガツオによって全国的に感染が広がり、県内でも24件もの被害が確認された。

 なぜ、近年になって急にアニサキスによる食中毒が増えているのか。ここには統計の“からくり”があるという。厚生労働省がアニサキスを食中毒の原因として集計するようになったのが13年。これにより、もともとあった被害の実態把握が進んだ。

 17年には、人気お笑いタレントが被害を公表したことで話題となり、大勢がアニサキスを疑って医療機関を受診するようになったとみられている。

 予防法は、加熱、冷凍と目視で取り除くこと。アニサキスは魚が死んでから時間がたつと、内臓から筋肉へと移動することから、魚を購入したらまず内臓を取り出し、背側を生食、腹側は加熱用に分ければリスクは低くなるという。

 このほか、夏場は細菌への警戒も必要。県は6月中旬から飲食店などへの立ち入り検査を行っている。県生活衛生課は「スーパーで購入した食品は保冷バッグで持ち帰り、食品は中心部まで加熱するなど、温度管理を徹底してほしい」としている。

北日本新聞社

最終更新:7/3(水) 5:00
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