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人と共存「やわらかロボット」 しなやかに進化、介護・災害で活用へ

金属など硬い材料で作られてきたロボットが柔らかく進化している。ゴムのような柔軟な素材を使い、構造や制御の工夫でしなやかに動く「ソフトロボット」が相次いで誕生しており、実社会になじみやすく、介護や災害現場などでの活用が期待されている。(松田麻希)

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 硬さからの転換

 ソフトロボットとは、構造や材料、動きなどに柔らかさを生かしたロボット。東京大の新山龍馬講師によると、2010年頃から認知が広がった新しい学術分野だ。国内外で研究開発が急速に進展しており、背景には、人間が生活する環境でロボットの活用が求められていることがある。

 「人間や農作物を含む生命体を相手にしたり、想定外のことが起こる実世界で使ったりするには、従来のロボットでは限界がある」と、東京工業大の鈴森康一教授は語る。

 ロボット開発はこれまで強さや速さ、精度の高さを追い求めてきた。工場のような画一的な環境で、同じ規格の製品を大量生産することは得意だが、形も大きさも異なるトマトを畑で収穫するのは苦手だ。

 「硬い金属製から柔らかい体に、正確に動くモーターから誤差を吸収するしなやかな動きに、緻密なプログラムから融通が利く知能に」転換する時期に来ていると鈴森教授は指摘する。