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公認心理師カリキュラム、WGで素案作成へ-厚労・文科省が検討会初会合で方針提示(医療介護CBニュース)

厚生労働省と文部科学省は20日、新たに創設される国家資格の「公認心理師」に関する検討会の初会合で、養成に必要なカリキュラムなどの検討事項の案を示した。2018年度に予定されている初回の試験に間に合わせるため、検討会にワーキンググループ(WG)を設置してカリキュラムの素案を作成した上で、その素案を基に検討会で報告書を取りまとめる見通しだ。【新井哉】

 医療機関などで勤務する心理職の資格については、「臨床心理士」や「認定心理士」、「臨床発達心理士」などがあるが、いずれも民間資格で、認定や養成課程は独自の基準で実施されているため、知識や技量に差があるといった懸念も出ていた。

 こうした状況を改善するため、昨年9月に公認心理師法が成立し、国家資格を持つ専門職が創設されることになった。業務は、支援が必要な人の心理状態の観察や結果の分析、相談・指導などを想定しており、大学と大学院で指定の科目を修め、大学院の課程を修了した人に加え、大学で指定科目を修め、卒業後一定期間の実務経験を積んだ人などに受験資格がある。

 この日の会合で、厚労省と文科省は、具体的な検討事項として、▽必要な科目や教育内容、実習・演習などのカリキュラム▽現任者(現時点で心理職として活動をしている人)に対して免除する試験科目▽現任者の範囲と講習会の内容・時間数―などを示した。

 また、次回の検討会までに公認心理師に求められる役割や知識、技能について、現状を踏まえて領域ごとに整理することや、必要な科目を検討するWGを設置し、「素案を整理の上、検討会において意見の取りまとめを行う」といった議論の進め方を説明した。

 検討会の委員からは、臨床心理士の資格者への配慮を求める意見や、試験に合格するかどうか分からない人を医療機関が雇わない可能性を挙げ、大学卒の実務経験者の枠が「有名無実化」することを懸念する声も出た。来月から来年1月にかけてWGを6回程度開き、大学・大学院で必要な科目や現任者・実務経験の範囲などを検討し、素案をまとめる予定。