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父さんがインフル! 本人の前で医師に「認知症なんです」と言えず…そこで役立ったのは?

1/28(月) 12:14配信

読売新聞(ヨミドクター)

認知症介護あるある~岡崎家の場合~

 イベント大好きな父さんが、「クリスマス会と餅つき大会がありますよ~」というスタッフの誘いに乗って、「年末年始はショートステイで過ごしたい」と自らリクエストしてきました。母さんは「ならば、私は寝正月にして日ごろの疲れを癒やすわ~」と父さんを送り出し、平成最後の年末年始はそれぞれが自由にゆっくり過ごすことになりました。

 ところが12月29日の朝、父さんが利用しているショートステイの施設から、なぜか私の携帯に電話がかかってきました。

 「今朝、お父さまが高熱を出されて……インフルエンザの可能性もあるのでお迎えに来ていただけないでしょうか」と。母さんは玄関先で立ち話をしていて施設からの電話に気付かず、私のところに連絡がきたのです。

 小さい子どもを持つお母さんやお父さんにはおなじみ(?)の「お熱が出たからお迎えに来てください」の父さんバージョン。これもデイサービスやショートステイなどの通所系の介護サービスを利用している場合の「認知症介護あるある」の一つです。

父さんがインフル! 本人の前で医師に「認知症なんです」と言えず…そこで役立ったのは?

漫画・日野あかね

車椅子を押して初めての病院へ

 こうして父さんが取り急ぎ、施設から家に戻ってくることになりました。すると「私ひとりでは看病は無理。助けて~」という母さんからのヘルプ要請が! 本来ならばインフルエンザかもしれない父さんに幼い息子を近づけたくありませんが、夫のヒロさんが出張で不在のため連れていくしかありません。私は息子のたー君を自転車の後ろに乗せ、寒空の下、実家へ急ぎました。

 ところが、世間はこの日からお正月休みに入っていて、父さんのかかりつけの病院をはじめ多くの病院も休診中。なんとか年末でも診てくれる病院を探し出し、施設から戻ってくる父さんを待ちました。

 いつもならばつえをつき、支える人がいれば自力で歩くことができる父さんですが、高熱のため施設の車椅子にグッタリと座っています。それを見た母さんは「たー君は私が見ているから、あとは頼んだ!」と、家の中へ消えていきました。

 思わず「え~!!!」と心の中で叫びましたが、左腕を骨折してからめっきり腕力の衰えた母さんには、力や小技が必要な車椅子を押すことは難しいのも事実。こうして私は年の瀬に、高熱で半分白目になった父さんが乗った車椅子を押し、初めての病院を目指しました。

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