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地震・津波の備えに衛星通信 全国の病院に国が要請へ
総務省と厚生労働省は20日、地震や津波で通信網が断絶するのに備え、衛星通信の設備を導入するよう全国の病院などに要請する方針を固めた。厚労省は、災害時に全国の病院や自治体が被災状況を共有し、支援できるシステムをつくったが、固定電話回線が途切れると使えなくなるという。
厚労省が整備した「広域災害救急医療情報システム(EMIS)」は、被災地の病院の状況をリアルタイムで把握し、けが人の搬送先を指示したり、外部から効率的に物資や支援チームを送り込んだりできる。データ量が多く、通信速度が速い固定回線が必要だ。
しかし、南海トラフ地震の被害想定では、固定回線の90%以上が不通になる見通しで、特に和歌山県は100%、高知県は99%が不通になるとされる。代わりに使える高速の衛星通信システムを備えているのは、全国約700の災害拠点病院のうち50カ所だけで、EMISが「絵に描いた餅」になりかねない状況だ。
そこで厚労省と総務省は月内にも、拠点病院と全国の自治体の本庁舎などに、パラボラアンテナを備えた衛星通信設備を取り急ぎ整備するよう要請する。また、携帯電話も広い範囲で不通になる可能性があるため、約12万の医療機関に対しても、通話用の衛星携帯電話を整備するよう求めるという。(上栗崇)