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アレルギー疾患、地域の拠点医療機関整備へ-厚労省協議会、初の基本指針案を概ね了承(医療介護CBニュース)

気管支ぜん息や花粉症といったアレルギー疾患について、厚生労働省の「アレルギー疾患対策推進協議会」(会長=斎藤博久・国立成育医療研究センター副所長)は2日、対策の方向性を示した初めての基本指針の案を大筋で了承した。基本指針は、昨年12月に施行されたアレルギー疾患対策基本法に基づいて国が策定するもので、案には各地域で拠点となる医療機関を整備することなどが盛り込まれている。同省では、今年度内に基本指針を大臣告示する方針。【松村秀士】

 アレルギーについては、国民の約2人に1人が何らかの疾患にかかるとされており、適切な医療提供体制の整備が求められている。しかし、専門的な知識や治療技術のある医師が偏在することなどから、地域間で医療提供体制に差があることが問題視されている。また、一部の医療機関では科学的根拠に基づかない診療が行われているとの指摘もある。

 こうした状況を踏まえ、基本指針案では、アレルギー疾患を持つ人がどこでも適切な診療を受けられるよう、科学的根拠に基づいた医療提供体制を整備すべきだとした。

 具体的な取り組みとして、各地域でアレルギー疾患医療の拠点となる医療機関を整備することを提示。厚労省では年明けにも検討の場を設けて、「拠点医療機関」の役割や機能、かかりつけ医との連携の在り方などについて議論する方針だ。

 厚労省の福島靖正・健康局長は会合で、拠点となる医療機関などについて、「来年6月ごろまでに検討を終え、必要な予算措置や診療報酬といった議論につなげたい」と述べた。

■ホームページなどで適切な情報を提供

 基本指針案ではまた、アレルギー疾患の診療にかかわる医療従事者の知識や技能を向上させるための施策を講じるほか、アレルギー疾患のある人が科学的根拠に基づかない治療によって症状を悪化させるケースがあるため、ホームページなどを通じて適切な情報の提供を図るとした。

■科学的知見に基づく医療提供は「責務」

 アレルギー疾患の診療に携わる医療従事者の「責務」についても触れ、医師らは国や自治体が講じる対策に協力し、重症化の予防や症状の軽減に貢献するよう努める必要性を指摘。アレルギー疾患のある人に対しては、「科学的知見に基づく良質、かつ適切な医療を行うよう努めなければならない」とした。