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肝硬変、細胞シートで抑制…鳥取大がマウス実験で効果
重い肝硬変の進行を抑える細胞シートの作製に成功したとする研究成果を、鳥取大チームがまとめた。マウスの実験で効果が確認できたため、2019年度にも臨床試験(治験)を始める計画だ。神戸市で開かれる日本再生医療学会で22日発表する。
ウイルス感染や大量飲酒などで肝炎になると、組織が硬くなる「線維化」が起こり、肝硬変に至る場合がある。重い肝硬変の国内患者数は約6万人と推定されるが、移植以外に有効な治療法はなく、肝がんを発症する人も多い。
チームの汐田剛史(ごうし)教授(再生医学)らは、人の骨髄などから採取した間葉系幹細胞に特定の化合物を加えて肝臓の細胞に変化させ、厚さ1~2ミリのシート状に加工する技術を開発。シートからは線維を溶かす酵素が出る仕組みで、これを3枚重ねて肝硬変のマウスの肝臓に貼って、1週間後、何もしなかったマウスと比べると線維化した部分が約4割少なかった。
治験では、患者本人の間葉系幹細胞からシートを作製する。汐田教授は「効果は少なくとも数か月続くと期待できる」と話す。
河田則文・大阪市立大教授(肝胆膵(かんたんすい)内科)の話「線維化を直接抑える治療法として注目される。今後は効果が出るシートの大きさなどを検証する必要がある」
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【間葉系幹細胞】 骨髄や脂肪の中に存在し、骨や筋肉、脂肪などに変化する能力を持つ細胞。傷ついた組織の修復を促す働きもあるとされ、様々な再生医療で応用が進む。