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E型肝炎、患者の1割が重症化-感染研が分析、死亡したケースも(医療介護CBニュース)
国立感染症研究所は、ウイルスに汚染された野生鳥獣の肉(ジビエ)などを摂取して急性肝炎を起こすE型肝炎について、患者の約1割が重症化したとの分析結果をまとめた。2012年以降の症例を調べたもので、死亡も3件報告されているという。【新井哉】
E型肝炎はウイルス性の急性肝炎で、ウイルスに汚染された食物や水を摂取することで感染。15-50日の潜伏期間の後、腹痛や食欲不振といった消化器症状を伴う急性肝炎を発症する。野生のイノシシやシカなどの生肉、加熱が不十分な肉が感染源と疑われるケースも少なくない。
同研究所によると、12年から今年4月24日までにE型肝炎として届け出のあった症例数(15年と16年は暫定値)は744例。年間の報告数については、12年以降、毎年増加している。報告数の都道府県別の割合は、北海道が28%で最も高く、北海道や東京(13%)など東日本からの報告が大半を占めたという。
全症例(744例)のうち、国内で感染したと推定されたのは701例(94%)だった。この701例のうち、届け出があった時点で死亡していたのは3例。重症とみられる症例(肝機能異常や黄だんなど)も70例(10%)あった。
国内の症例のうち推定感染源の記載があったのは290例。その内訳(重複あり)は、豚(121例)が最多で、次いでイノシシ(34例)、シカ(32例)の順だった。また、輸血から感染が疑われた症例も6例あったという。
同研究所は「不明な点も少なくないが、豚の生肉やレバー等の生食はHEV(E型肝炎ウイルス)感染のリスクが高い」と指摘。「国民全体にE型肝炎の感染のリスクについて、より一層の周知徹底と理解が重要」としている。