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脳動脈瘤、AI補助で放射線科医の読影精度向上 - 大阪市立大の研究グループがアルゴリズム開発(医療介護CBニュース)

大阪市立大大学院医学研究科(放射線診断学・IVR学)の研究グループは、AI(人工知能)による脳動脈瘤の自動検出アルゴリズムの開発と検証を行った。放射線科医がこのアルゴリズムの補助を受けた場合、単独の読影と比較して脳動脈瘤の検出数が5-10%程度上昇したという。【新井哉】

 くも膜下出血を引き起こした場合の死亡率は23―51%とされており、国内では年間1万人以上が死亡している。くも膜下出血の85%は脳動脈瘤が原因であるため、脳動脈瘤を早く見つけて破裂前に治療することが重要だという。

 脳動脈瘤の検査には、MRI検査の一種のMRA検査が用いられるが、1人1回当たり100枚以上の画像を撮影するため、読影には膨大な時間がかかる。また、脳動脈瘤の大きさは平均4ミリ程度と小さく、血管の分岐点や加齢に伴う血管の隆起との区別が難しく、放射線科医でも発見しにくいケースもある。

 そこで同研究科の三木幸雄教授と植田大樹医師らの研究グループは、同大医学部附属病院などから1271枚(1477個の脳動脈瘤)のMRA画像を収集し、アルゴリズムの開発に取り組んだ。収集した画像を、▽学習用▽テスト1(治療に使う病院用データ)▽テスト2(診断に使うクリニック用データ)―の3つに分け、学習用データからアルゴリズムを構築し、その精度をテストデータを用いて評価した。
 脳動脈瘤の検出率については、テスト1が91.2%、テスト2が92.5%で、高い検出率を得られた。アルゴリズムの補助下で放射線科医が再度読影したところ、単独で行った読影と比較して、脳動脈瘤の検出数がテスト1で4.78%、テスト2で12.5%それぞれ上昇した。

 研究グループは「深層学習による脳動脈瘤検出の臨床有用性を世界で初めて検証した。放射線科医の読影に加えて今回開発したアルゴリズムを利用することで、より精度の高い診断ができることが示された」としている。研究の成果は、23日に国際学術誌「Radiology」(電子版)に掲載された。

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