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循環器病の急性期診療、役割分担など検討へ-厚労省が検討会に提示、WG設置も(医療介護CBニュース)

厚生労働省は30日、循環器病の診療提供体制に関する検討会の初会合で、脳卒中や急性心筋梗塞などを診療する施設の役割分担のイメージ案などを示した。2018年度からの次期医療計画を都道府県が策定する際、参考にしてもらうことなどが目的。検討会やその下に設置するワーキンググループで循環器病の急性期の医療提供体制や施設の評価指標を議論し、10月に取りまとめる中間報告に盛り込みたい考えだ。【新井哉】

■急性大動脈解離、24時間365日体制で治療できる体制を

 この日の会合で厚労省は、死亡割合で心疾患が2位、脳血管疾患は4位で、疾患別の病死検案数の約7割が循環器病であることを取り上げ、「循環器病は突然死に占める割合が多い」と指摘。例えば、急性心筋梗塞の治療の課題として、冠動脈の狭くなった部分を拡げるカテーテル治療「経皮的冠動脈インターベンション」を施行する施設の約50%が心臓血管外科を併設していないことを挙げ、緊急時の心臓外科手術が対応可能な医療機関との連携体制の必要性を訴えた。

 急性大動脈解離については、発症後の死亡率が1時間ごとに1-2%上昇するとの見解を示し、「24時間365日体制で外科的治療・血管内治療が行える体制が必要」としたほか、緊急手術が多いため、「手術チームの質の確保も重要」とした。

 また、脳血管疾患が要介護の原因の1位となっており、介護度が上がるほど脳血管疾患の占める割合が多いとし、「循環器病は発症後早期に適切な治療を開始する必要があるのではないか」とした。

■循環器病の診療施設、高度や初期など3つに分類

 こうした課題などを踏まえ、循環器病を診療する施設の役割分担のイメージ案では、▽高度な専門的医療を行う施設▽専門的医療を行う施設▽主に初期対応を行う施設-の3つに分類。急性大動脈解離については、高度な専門的医療を行う施設では「24時間体制で外科的治療、血管内治療が可能」、初期対応を行う施設は「急性大動脈解離の診断が可能」とするなど、医療機関に求められる役割を明確化した上で、診療提供体制を構築する必要性を挙げた。

 また、循環器病の急性期診療提供体制の構築に向け、搬送や診断、治療の課題や医療施設に求められる役割を踏まえた評価指標を設定することも提案。評価に用いることが可能な指標として、医療計画で例示している指標や病床機能報告制度で把握する項目、研究班の情報などを挙げて議論を促した。

 検討会の委員からは「病院をたくさん整備するよりも、道路整備やドクターカー、ドクターヘリを利用して早く施設で的確な診断をする体制を作っていくことが重要ではないか」との意見や、「急性大動脈解離は都会ではないところに行くと、時間をかけて送るリスクがどうしても出てくる」といった指摘もあった。検討会では、7月から8月にかけて脳卒中と心疾患の2つのワーキンググループを立ち上げ、急性期や慢性期などの診療提供体制に関する議論を行う見通し。