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レンサ球菌咽頭炎、関東以北で感染拡大-過去10年同期で2番目の多さ(医療介護CBニュース)
主に小児が感染して気管支炎などを起こすA群溶血性レンサ球菌咽頭炎の患者報告数が、関東以北の全域で増えたことが21日、国立感染症研究所がまとめた6日から12日までの週の患者報告で分かった。この週の全国の平均値は過去10年同期で2番目に多く、警報基準値を上回る地域が相次いでいる。【新井哉】
■北海道の一部で警報基準値の4倍超に
6日から12日までの週の全国の患者報告数(小児科定点医療機関約3000カ所)は、前週比8%増の定点当たり3.15人となった。都道府県別では、山形が5.37人で最も多く、以下は北海道(5.06人)、千葉(4.9人)、宮城(4.66人)、埼玉(4.61人)、鳥取(4.53人)、大分(4.22人)、長野(4.15人)、群馬(3.78人)、佐賀(3.74人)、愛媛(3.65人)、新潟(3.6人)などの順だった。
関東以北では、軒並み前週よりも報告数が増えた。北海道では浦賀保健所管内で警報基準値の8.0人の4倍超の定点当たり37.0人を記録。帯広(11.88人)や 深川(10.5 人)などの保健所管内でも警報基準値を上回った。
東北地方では、宮城県の石巻(10.2人)や仙南(8.2人)などの保健所管内で警報基準値を超過。二戸(13.0人)と盛岡市(8.0人)の各保健所管内で警報基準値に達した岩手県は、「例年より多くなっており、注意が必要」としている。
■東京都内は「増加傾向」、警報レベルの地域も
関東地方でも感染が拡大しており、千葉県では16保健所中12保健所管内で増加。同県の船橋市(9.0人)や埼玉県の鴻巣(8.17人)、群馬県の富岡(17.5人)の各保健所管内で警報基準値を超過。東京都の世田谷(8.0人)でも警報基準値に達しており、都は「定点当たり報告数は増加傾向」と説明している。
昨年のピーク時とほぼ同じ報告数となった埼玉県は、「前週より大きく増加した」と指摘。外出後の手洗いやうがい、十分な休養を取ることに加え、子どもの体調がすぐれない時は、医療機関に電話で相談の上、早めに受診するよう呼び掛けている。
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は、レンサ球菌が引き起こす感染症で、発熱や咽頭炎、扁桃炎、発疹などの症状が出る。気管支炎を起こすことも多い。主に小児の間で発生し、冬季や春から初夏にかけて流行する傾向がある。鼻汁や唾液中の菌の飛散などで感染し、家庭や教育施設での集団感染が多い。予防法は、患者との接触を避けるほか、うがいや手洗いなどが有効とされている。