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二度の介護離職を経験したから言える「仕事」と「介護」を両立させる法

「お母さんが倒れた!  早く病院に来て!」……誰もが突然、直面する可能性のある介護の問題。そのとき心強い味方になってくれるのが、父・祖母・母を連続で介護し、2度の介護離職をした経験のある工藤広伸氏の『ムリなくできる親の介護』だ。上手に制度を活用すれば、仕事と介護は両立できるという工藤氏。そのためには、まず「知る」ことが重要だ。親が元気なうちに知っておきたい制度・法律について、工藤氏に教えてもらった。
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二度の介護離職を経験したから言える「仕事」と「介護」を両立させる法

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「介護休業」は当然の権利

 わたしは介護離職を2度も経験しているので、「介護と仕事の両立ができていないのではないか」と言われることがあります。

 しかし、人より多く介護離職を経験しているからこそ、「もし会社にこういう制度があったら、こういう仕組みがあったら、会社を辞めずに済んだのに」と思うこともあります。それに、今は会社員ではありませんが、わたしにも文章を書く、という立派な仕事があります。

 現在の仕事のひとつとして、企業向けの講演では、介護で離職せずに済む方法をいくつかご提案しています。ここでは、漠然と介護への不安を抱えながら仕事をしている会社員のみなさんが、今やっておいてほしいことを紹介します。

 仕事や収入を失って、はじめて仕事や毎月入ってくる給料のありがたみを知るのではなく、なくす前に知っておくべき情報をまとめました。

 「育児・介護休業法」という法律で、介護休暇、介護休業、勤務時間の短縮措置が認められています。会社の人事部で積極的に発信していなくとも、介護する相手との間柄が法律の範囲内であること、雇用期間や、労働日数などが満たされていれば、会社に申請することができます。

 もし、上司から「介護休業は認めない」と言われたとしても、「労働者は、会社の規模や業種、また、性別に関係なく育児休業や介護休業を取得できる(育児・介護休業法第5条、第11条)」「会社は、対象となる労働者から育児休業や介護休業の申出があったときには、経営困難、事業繁忙、人手不足などの理由があっても拒むことはできない(同法第6条、第12条)」とあります。

 介護休業の申し出や休業したことを理由に、社員が解雇されたり、不利益を被ったりすることはあってはなりません。

 介護休業給付金も、雇用保険から賃金月額の67%が給付され、その手続きは社員ではなく、事業主が申請することになっています。

 まずはこれらの制度を利用しながら、介護と仕事の両立を模索するところからはじめるのですが、介護休業中に行なうことは、介護保険サービスなどを使って介護のプロの力を借りながら、ケアマネと相談しながら介護体制作りをすることであって、自らが介護をがんばることではありません。

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