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介護保険料、宅地売却の収入は「所得」外へ-厚労省が政省令改正へ、パブコメ開始(医療介護CBニュース)
厚生労働省は、65歳以上の第1号被保険者の介護保険料を設定する際に用いる「合計所得金額」(所得)の算出方法を改正する政令案や省令案をまとめ、パブリックコメントの募集を開始した。所得から宅地の売却収入の所得などを控除する改正案が盛り込まれている。【ただ正芳】
現在の所得には、宅地を売却した際に得られる一時的な収入なども含まれる。ところが、自治体が中心となり、住民を安全な高台などに集団移転させる事業が進められている東日本大震災の被災地では、事業に合わせて宅地などを売り払った結果、被災者の所得が一時的に跳ね上がり、翌年の保険料の設定が高くなるという事例が生じている。
さらに自宅を売って得られる収入は、新たに家屋やマンションなどを購入するための費用に充てられることがほとんどで、自宅を売った人の手元に新たな収入が残る可能性はあまりない。そのため、特に被災地の自治体などから改善を求める声が上がっていた。
こうした状況を踏まえ、厚労省では所得の算出方法を見直すことを決めた。具体的には、現在の所得から「租税特別措置法に規定される長期譲渡所得又は短期譲渡所得の特別控除額」を差し引いた額を、保険料の設定を決める際に用いる。
「租税特別措置法に規定される長期譲渡所得又は短期譲渡所得の特別控除額」に該当する事例と限度額は、次の通り。カッコ内は限度額。
(1)収容交換などのために土地などを譲渡した場合。(5000万円)
(2)特定土地区画整理事業や被災地の防災集団移転促進事業などのために土地などを譲渡した場合。(2000万円)
(3)特定住宅地造成事業などのために土地などを譲渡した場合。(1500万円)
(4)農地保有の合理化などのために農地などを売却した場合。(800万円)
(5)マイホーム(居住用財産)を譲渡した場合。(3000万円)
(6)特定の土地を譲渡した場合。(1000万円)
(7)(1)から(6)のうち、2つ以上の適用を受ける場合。(5000万円)
見直しは、2018年4月施行が原則だが、自治体の判断で17年4月施行も可能となる。パブリックコメントの募集は7月26日まで。