介護・医療関連ニュース

障害者の高齢化に対応するグループホームが完成(東京)(福祉新聞)

障害者が高齢になっても暮らし続けられるよう装備したグループホーム(GH)「イタール上荻」(東京都杉並区)が今年2月に完成した。老朽化により建て替えたもので、トイレや風呂のバリアフリー化を進めた。運営する社会福祉法人いたるセンターは、都内で同様のGHづくりを進めている。

 イタール上荻は3階建てのビルで、入居者は平均年齢48歳、最高齢は76歳。脳性まひの人、40年超精神科病院に入院した人など知的障害や精神障害のある男女13人が暮らす。日中は作業所などで働く人が多いが、中にはデイサービスに通う人もいる。

 「65歳を超えて特別養護老人ホームに移ろうとしてもまず受け入れてもらえない」。

 管理者の八巻利子さんはこう話す。そのため、最期までGHで暮らせるようエレベーターを設け、風呂は片まひの人に対応するため浴槽や手すりをスライド式にするなど設備は手を尽くした。

 心配の種は人材だ。「医療の必要な人が出てきたら看護師が必要だが、その確保は難しい。今のGHの収入では十分に人件費を出せない」と明かす。

 「軽度」とされる人への心配も尽きない。

 5月25日に成立した改正障害者総合支援法は、障害程度の軽い人の一人暮らしを定期訪問で支える新サービス「自立生活援助」を創設。その代わり、GHは重度者に特化したものになる見込みだ。

 八巻さんは「軽度の人には重度・高齢の人とは別の意味で手がかかる。新サービスを設けても一人暮らしを安定させるのは容易ではない」とみる。

 この点は国会審議でも論点となり、日本グループホーム学会は与野党に意見提出した。

 同学会の光増昌久代表は「GHを重度の人向けにしていくことには賛成」としつつ、「これからGHの利用を希望する『障害支援区分非該当、支援区分1』の人が利用できなくなる懸念がある。住まいの場は支援区分で制限するのでなく、本人の意向を尊重すべきだ」とコメントしている。