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「在宅で24時間支える」 介護保険8事業者が新サービス提言(福祉新聞)

八つの介護保険事業者で構成する任意団体が5月20日、在宅の要介護3以上の人を24時間体制で支える新サービスの創設などを提言書にまとめ、厚生労働省に提出した。自宅にいながら特別養護老人ホームと同等以上の医療・介護が受けられる体制を目指す。2017年の法改正、18年度の介護報酬改定に反映させたい考えだ。

 提言したのは「地域包括ケア推進研究会準備委員会」(委員長=田宮崇・社会福祉法人長岡福祉協会理事長、新潟県)。15年8月に結成し、計9回議論を重ねた。同日、厚労省で記者会見を開いた。

 新サービスは小規模多機能型居宅介護と定期巡回・随時対応サービスを融合したもの。訪問、通い、泊まりを組み合わせる。配置人員の重複を解消し、効率的で効果の高いサービスを目指す。

 この新サービスと訪問看護(要介護1~5を対応)、訪問介護(要介護1、2を対応)を一体的に提供する拠点を「地域居住総合支援拠点(仮称)」とすることも提言した。

 市町村はこの拠点の運営事業者を公募し、担当エリアを設ける。そのエリア内に多職種によるチームも設け、利用者が施設で短期間過ごす様子を観察し、新サービスの利用、施設入所のいずれが妥当か見極める。

 提言の背景にあるのは、特に土地や人材の確保が困難な都市部ではこの先、施設を増やせないという問題意識だ。そのため、自宅でも施設でも同じ条件で医療や介護を受けられる姿を追求する。在宅医療を充実させることがその大前提となる。

 その関連で特養ホームの嘱託医の配置をなくし、入所者は外部から訪問医療を受けること、一定の研修を受けた介護福祉士がインシュリン注射など「診療の補助」をできるようにすることも求めた。

 一方、見守り、配食などの生活支援は互助組織、ボランティアなどが担うことを想定。専門職の処遇を引き上げて「人財」を確保する観点から、介護保険の財源は要介護3以上の人に集中投入すべきだとした。

 同委員会には、ノテ福祉会(札幌市)、小田原福祉会(神奈川県)、こうほうえん(鳥取県)といった社会福祉法人のほか株式会社(3社)、NPO法人(1法人)が参加。同委員会は今後、賛同者を増やした上で研究会を発足させる予定だ。