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【デキる人の健康学】食物繊維の摂取量と健康長寿の関連性(産経新聞)
最近のハーバード大の研究で、ギリシャなど地中海沿岸地域に暮らす人々は長寿のバイオマーカーである白血球のテロメアが長いことが報告されているが、テロメアが長い人はアルツハイマー病や骨粗しょう症などの加齢性疾患を発症しづらいことが報告されている。
一方で、高齢期に身体障害、抑うつ状態、認知障害、がんや冠状動脈疾患、脳卒中などの病気がない高齢者は生活が自立していることが多く、最後まで介護を必要としないことが多い。
このような高齢者のグループはサクセスフルエイジング群と定義されている。豪州ウエストミード医学研究所のバミニ・ゴピナス博士らの研究チームは砂糖や炭酸飲料、食物繊維を含む炭水化物の摂取量とサクセスフルエイジングの関連性に注目した。
豪州に在住の49歳以上の成人1609人をを対象に10年間の追跡調査を行い、炭水化物の質および摂取量とサクセスフルエイジングに影響を与える高血圧、認知症、うつ病、身体的障害の発症の関連性を検討した。
その結果、炭水化物の中で最もサクセスフルエイジングに影響を与えたのは食物繊維の摂取量だった。食物繊維の摂取量が最も多い群の成人は、摂取量の少ない群の成人に比べて、長く健康的な生活を送れる確率が80%も高いことを明らかとした。
研究チームは砂糖の摂取量に関しても同様の解析を行った。興味深いことに、砂糖の摂取量は死亡率を上昇させることに関係していたが、サクセスフルエイジングへの関連性は予想外に低かったとゴピナス博士はコメントしている。砂糖や炭酸飲料の摂取を控えることに加え、食物繊維をしっかり摂取することがサクセスフルエイジングの鍵になりそうだ。
■白澤卓二(しらさわ・たくじ) 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。1990年より2007年まで東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダー。2007年より2015年まで順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。2015年より白澤抗加齢医学研究所所長。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など300冊を超える。