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生活習慣病に効く「ウェルネスコーチング」(ウォール・ストリート・ジャーナル)
不健康な習慣を変えるのは難しいと医者は言う。ただ、慢性疾患を抱える米国民が増える中、悪習の是正を大きく後押しする動きが進んでいる。
大企業や保険会社、医療機関などは、健康なライフスタイルを送るよう促す「ウェルネスコーチ」にますます目を向けるようになっている。
こうしたプログラムには通常、行動が健康にどう影響を与えるかを患者に理解させるためのカウンセリングが含まれる。また、瞑想(めいそう)などのテクニックに加え、必要な変化を最後までやり抜くのを手助けする目標設定の仕方も伝授される。
これらはすべて、病気になってから治療するのではなく、健康を維持させる方向への大きな変化の一部だ。
うまく行けば、得るものは大きい。米疾病管理予防センター(CDCP)は、肥満、2型糖尿病、高血圧、心血管疾患など慢性的な生活習慣病を21世紀最大の健康上の課題だと呼んでいる。CDCPは米国の成人の半数が2012年に1つ以上の慢性病にかかっており、それが医療費全体の86%を占めると推測している。
効果はあるのか
ウェルネスコーチ養成団体「NCCHWC」によると、審査を通過した数多くの承認プログラムに基づけば、米国には推定1万5000人から2万人のウェルネスコーチが存在する。
ウェルネスコーチングは比較的新しい分野だが、最近の研究の一部は、少なくとも短期的には有効であることを示している。
米国の総合病院メイヨー・クリニックがウェルネスコーチングを受けた被験者100人を調査したところ、12週間のプログラム終了までに大半の人の体重が減り、食習慣が改善し、運動量が増えたことが判明した。3カ月後のフォローアップでは生活習慣が元に戻る部分も見られたが、それでも被験者らはコーチング開始前よりも良い状態を保っていたという。
セッションでは被験者がコーチと1対1で健康に向けたビジョンを作成し、その目標に到達する戦略を練る。同クリニックでウェルネスコーチングのメディカルディレクターを務めるクリステン・ビッカーズ・ダグラス氏は、「行動が変われば心構えが変わるし、心構えが変われば行動が変わる」と話す。
脳のトレーニング
ウェルネスコーチングを試すのは生活習慣病の患者だけではない。
米ペンシルベニア州フィラデルフィアに住むカリッサ・ターディフさん(31)は2010年、自己免疫疾患のサルコイドーシス(類肉腫症)にかかっていると診断された。疲れを感じて集中力が落ち、健康状態が思わしくないターディフさんはメイヨー・クリニックにあるヘルシー・リビング・センターでウェルネスコーチングを受けることにした。
2日間のセッションには1対1のコーチングに加え、人気のある「セルフコンパッション(自分自身を思いやること)の描き方」「幸福のための脳トレーニング」などのクラス、ヨガ、瞑想などリラックスする技術を学ぶ機会が設けられている。費用は750ドル(約7万5000円)だ。ターディフさんは神経科学者と時間を過ごし、脳がどのように働くのかを教授してもらった。
ターディフさんのコーチは、ストレスを緩和するために運動することを勧めた。現在、彼女は週に5日ジムに通い、毎日15分瞑想している。もはや呼吸や睡眠、食事管理で困難を感じることはなくなり、より明確に考えたり、コミュニケーションが取れるようになったという。