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「睡眠時無呼吸症候群×高血圧」という時限爆弾を抱える日本人

睡眠時の無呼吸は、さまざまな生活習慣病を引き起こします。特に心血管疾患と脳卒中は、睡眠時無呼吸によって心臓や血管、脳の病気にかかるリスクを高め、寿命を縮める恐れがあります。それほど日頃の生活習慣が深く関係し、全身に影響を及ぼす病気だということです。今回は睡眠時無呼吸症候群が引き起こす合併症を中心に解説していきます。※本連載は『その睡眠が寿命を縮める』(幻冬舎MC)の内容を一部抜粋・改編したものです。

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「睡眠時無呼吸症候群×高血圧」という時限爆弾を抱える日本人

睡眠時の無呼吸が、命に関わる病気に……

睡眠時無呼吸は心臓・血管・脳の病気のリスクを高める

睡眠時の無呼吸は、さまざまな生活習慣病を引き起こしますが、最近は「睡眠時無呼吸症候群そのものが生活習慣病である」と考える医療関係者も増えています。それほど日頃の生活習慣が深く関係し、全身に影響を及ぼす病気ということです。

なかでも特に注意が必要なのは、心血管疾患と脳卒中です。これらの循環器疾患は、睡眠時無呼吸によって心臓や血管、脳の病気にかかるリスクを高め、寿命を縮める恐れがあることが分かっているからです。

これまでに当科で治療を行った患者を調査したところ、高血圧、心不全、不整脈、冠動脈疾患、脳梗塞などの循環器疾患の人は、非常に高い頻度で睡眠時無呼吸症候群を合併していることが分かりました。

睡眠時無呼吸によって発生する高血圧は、生活習慣病を進行させて脳や心臓にもさまざまな悪さをしますが、睡眠時無呼吸自体も脳や心臓の病気を発症させます。

無呼吸が起こると、体は懸命に肺を膨らませて呼吸をしようとするので、胸郭が外に引っ張られて胸腔内が陰圧(圧力が低くなる)になり、心臓に負担をかけます。そのため、心臓のポンプ機能が低下したり、不整脈が発生したりして、それが続くと心臓肥大や大動脈の拡張などが起きやすくなるのです。

また、低酸素状態になると炎症を起こす物質が分泌されるため、血管に炎症が起こり動脈硬化を進行させます。放っておくと脳や心臓の血管が詰まったり、破裂したりして、脳卒中や心筋梗塞、大動脈解離などにつながりかねません。実際に、夜間に発作を起こすケースが多く、突然死のリスクが増大しています。このようなことから、循環器疾患を引き起こす上流に存在するのが睡眠時無呼吸症候群なのです。

現在まで日本人の死亡原因のトップは長期にわたって「がん」ですが、2位と3位に「心疾患」と「脳血管疾患」が入っています。がんは怖い病気とはいっても徐々に進行していくので、突然死はほとんどありません。

しかし、循環器疾患の場合は、突然死する危険をはらんでいます。そう考えると、なんの前触れもなく、心の準備もできていない状態で襲ってくる循環器疾患のほうが、むしろ怖いと感じる人は少なくないと思います。

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