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睡眠時無呼吸 脳卒中・心筋梗塞の死亡率2~3倍に…脂肪を落として改善

大人の健康を考える「大人び」

 不眠症について、日本睡眠学会認定医で、上島医院(大阪府大阪狭山市)院長の渥美正彦さんに聞きます。(聞き手・古川恭一)

睡眠時無呼吸 脳卒中・心筋梗塞の死亡率2~3倍に…脂肪を落として改善

読売新聞社

脂肪が睡眠中に気道をふさぐ

 不眠の原因となり、患者さんも多く、他の大病につながる怖い病気に「睡眠時無呼吸症候群」があります。寝ている間、10秒以上の無呼吸状態が何度も続き、無呼吸回数が1時間あたり5~15回なら軽度、30回以上になると重度と診断されます。

 肥満で舌の付け根についた脂肪が睡眠中に気道をふさいだり、下あごの成長不全や扁桃(へんとう)の肥大、老化によるあごの筋力低下で気道が狭まったりして発症します。

 呼吸が止まると血中酸素濃度が下がり、いったん覚醒することで呼吸が戻ります。けれど本人は病気に気づかないことも多く、いびきがひどかったり急に止まったりする異変に家族が気づいて発覚するケースが目立ちます。

 問題は「昼間に眠い」「体がだるい」といった不眠のつらさだけではありません。症状がない人に比べ、脳卒中心筋梗塞(こうそく)での死亡率が、約10年で2~3倍になるというデータがあるのです。

3分の2以上は肥満

 この病気で来院する方の3分の2以上は肥満です。やせて気道を圧迫する脂肪を落とせば症状は軽減します。ある50歳代の女性は重度と診断されましたが、糖質の摂取を減らしてウォーキングを続け、70キロ近かった体重を半年で適正体重(約50キロ)に落としたところ、ほぼ完治しました。

 ですが、夜遅く食事するなど生活時間が不安定だと、完治はなかなか困難。他の治療を併用しながら、高血圧や高脂血症などの生活習慣病を予防するつもりで、少しでもダイエットしてください。

渥美 正彦(あつみ まさひこ) 大阪市立大学医学部卒業。大阪警察病院、国立病院機構やまと精神医療センター、近畿大学医学部付属病院神経内科などを経て、2004年6月から上島医院。05年に同医院併設南大阪睡眠医療センター長。10年から同医院院長。