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精神面にも影響 健康的な生活習慣でうつ病は予防できるか

青島周一【役に立つオモシロ医学論文】

 食事や運動などの生活習慣は、身体的な健康状態にさまざまな影響を及ぼすと考えられています。過去の研究報告では、精神的な健康状態との関連性も示唆されています。

 そんな中、日本疫学会誌電子版に、健康的な生活習慣と抑うつ症状との関連性を検討した研究論文が2019年6月1日付で掲載されました。

 この研究では、抑うつ症状のない日本人労働者917人(平均42歳)が対象となりました。

 健康的な生活習慣は、①体格指数(BMI)が正常であること②禁煙していること③飲酒量が少ないこと④適度な身体活動量があること⑤野菜の摂取量が多いこと⑥果物の摂取量が多いこと⑦適切な睡眠時間が確保できていること――の7項目を各1点で評価しています。

 7項目の合計点数により健康的な生活習慣を低レベル群(0~2点)、中レベル群(3~4点)、高レベル群(5~7点)に分類し、抑うつ症状発症のリスクが比較検討されました。なお、結果に影響を与えうる、年齢、性別、婚姻状況、雇用状況などの因子について、統計的に補正を行い解析しています。

 3年にわたる追跡調査の結果、抑うつ症状の発症リスクは、健康的な生活習慣の低レベル群と比較して、高レベル群で45%、統計学的にも有意に低いという結果でした。なお、中レベル群では26%低い傾向でしたが、有意な差を認めませんでした。

 もちろん、飲酒や喫煙をしない人は、そもそも精神状態が良好だといえます。したがって、この研究結果のみから健康的な生活習慣が抑うつ症状を予防すると結論できません。とはいえ、本研究で用いられた7つの評価項目は、精神的な健康状態を評価するうえで参考になるかもしれません。

(青島周一/勤務薬剤師・「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰)