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高齢化除けば有病率変わらず 埼玉医大教授らチーム分析

 

≪糖尿病増加≫

 代表的な生活習慣病で、患者が年々増えている糖尿病。野田光彦埼玉医大教授(内分泌・糖尿病内科)らのチームは、人口に占める糖尿病患者の割合(糖尿病有病率)の推移について、意外な結果を専門誌に発表した。

 人口高齢化の影響を除いて分析すると、糖尿病の有病率は過去20年でほとんど変わっておらず、増加の主な要因は高齢化ではないかというのだ。

 「日本の糖尿病対策の検討には、人口構成の変化にもっと注意を向ける必要がある」とチームは問題提起している。

 チームが分析に使ったのは、1988~2011年の糖尿病有病率のデータを含む国内の大規模疫学研究6件、国による健康調査9件。計約16万1000人の成人男女が対象になっている。

 まず1990年から2010年までの有病率を算出し、それを基に30年までの有病率を予測したところ、1990年に6.6%(患者数約600万人)だった有病率は2010年に7.9%(同約830万人)に増え、30年には9.8%(同約970万人)まで伸びると推計された。

 次に、人口の高齢化による影響を除くとどうなるかを見るため、10年時点の男女別の人口構成がずっと変わらないと仮定する「年齢調整」と呼ばれる計算法で推計し直したところ、1990年から2010年までは有病率7.9%で変化がなく、30年の予測値も8.3%と大きくは変わらないとの結果が出た。

 野田教授によると、高齢化でなぜ糖尿病が増えるかについては、完全には解明されていない。同教授は「メカニズムの研究とともに、高齢患者に重点を置いた政策検討を急ぐべきだ」と指摘している。