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来年改定の「日本人の食事摂取基準」、塩分目標量は0.5グラム減へ
健康の維持や増進を図る上で摂取することが望ましいエネルギーや栄養素の量の基準をまとめた「日本人の食事摂取基準」が来年、改定される。現在、厚生労働省で内容の検討が進んでいるが、この中で、食塩相当量の1日摂取目標量がさらに厳しく引き下げられそうだ。食塩は味の決め手となる調味料。今以上の減塩をどうやったら実現できるのだろうか。(平沢裕子)
◆WHOは5グラム未満
食塩相当量について、検討されている新たな目標量は、18歳以上は男性が7・5グラム未満、女性が6・5グラム未満。5年前の平成27年版では、男性8・0グラム未満、女性7・0グラム未満だったので、男女とも今より0・5グラム厳しくなる。
食塩の取り過ぎは高血圧を引き起こし、心臓病や脳卒中、腎臓病などの原因となるだけに、WHO(世界保健機関)は5グラム未満、また日本高血圧学会は6グラム未満にするよう勧めている。新しい目標量はこれらに比べるとまだ余裕のある数字ともいえる。
ただ、厚労省の「国民健康・栄養調査」によると、29年の日本人の1日当たりの食塩摂取量(食塩相当量)は男性10・8グラム、女性9・1グラム。10年前の19年は男性12・0グラム、女性10・3グラムだったことを考えれば減塩は進んでいるものの、現在の目標量より男女とも2グラム以上多く摂取しており、さらに0・5グラム下げるのは厳しそうだ。
◆摂取源を知って
では、私たちはどんな食品からどれぐらいの食塩を摂取しているのだろう。
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所が、24年の国民健康・栄養調査のデータを基に解析したところ、食塩摂取源となっている食品として、カップ麺や梅干し、漬物、魚の塩蔵品、パンなどが挙がっている。
中でもカップ麺とインスタントラーメンは、1食だけで現在の1日摂取目標量の7割に達してしまう。食品表示に詳しい消費生活コンサルタントの森田満樹さんは「麺類はスープを半分残せば、食塩摂取量を1~2グラム減らすことができる。容器に麺とスープの食塩相当量を分けて表記しているカップ麺は多いので、参考にするといい」と話す。
27年に施行された食品表示法で、一般向けの加工食品は32年3月までに栄養成分表示を行うことが義務付けられている。
塩分は、これまでの任意表示では「ナトリウム(ミリグラム)」で表示するのがルールだったが、新たな食品表示法では「食塩相当量(グラム)」の表示となる。
ただ、現在出回っている加工食品は、ナトリウムと食塩相当量の両方の表示が混在する。ナトリウム1千ミリグラム(1グラム)は食塩相当量では2・54グラムになる。「ナトリウム量=食塩相当量」ではないので注意が必要だ。
◆レモンに置き換え
食塩の約7割は調味料から摂取している。特に、しょうゆやみそなど日本ならではの調味料からの摂取が多い。
消費者庁は、食塩摂取量を減らす方法として、食塩量が多いみそ汁などを食べる回数を減らす▽しょうゆの半量をレモン汁やお酢に置き換える▽刺し身などにしょうゆをたっぷりつけない▽「○%減塩」「塩分控えめ」など食塩量が少ない食品を選ぶ-などを挙げる。
森田さんは「気を付けたいのは、あまり塩味を感じなくても実際は塩分が多いものがあること。パンやだしの素などは意外と塩分が多いので、食塩相当量の数値をしっかり確認して選ぶことが大事」と話す。
また、食べた塩分を排出する働きがあるカリウムや食物繊維を多く含む野菜や果物、キノコ、海藻などを積極的に取ることも勧められる。