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「食道胃接合部がん」が近年急増…胸焼け、胃酸の逆流など症状ある人は内視鏡検査を
食道と胃の境界にできる「食道胃接合部がん」の患者が増えています。食生活の欧米化や肥満、加齢が発症に関係しているとされます。胸焼けや酸っぱい液体が口に戻るなどの症状がある人は年1回、内視鏡検査(胃カメラ)の受診が勧められます。(佐々木栄)
食道胃接合部とは?
食道と胃はつながっていて、いずれも上部消化管に分類されますが、食道は主に胸部、胃は腹部にあり、内側の粘膜の組織はそれぞれ大きく異なります。
口から入った食べ物は、食道を通った後、胃の中に2~4時間とどまり、消化液でドロドロの状態にされた後、腸へと送り出されます。
食道と胃の境界では、食べ物が戻らないようにするため、下部食道括約筋という筋肉によって開いたり閉じたりしています。この境界付近の3~4センチの部分を「食道胃接合部領域」と定義し、ここでできるがんを食道胃接合部がんといいます。なぜ起きる?
がんができる主な原因として、胃酸の逆流が挙げられます。肥満によるおなかの圧力の上昇や、加齢による括約筋の緩みなどで起こりやすいとされます。また、胃がんの予防のためピロリ菌を除去すると、胃酸の分泌が増えますが、これも一因と考えられています。
この病気は、まず欧米で注目され、米国では1975年からの30年間で約5倍に増えたと報告されました。関係学会の調査によると、国内でも2001~10年の間で手術数が倍増しています。正確な患者数はまだわかっていません。どんな症状?
がんができると周辺の組織が硬くなり、食べ物が食道から胃へとスムーズに流れにくくなり、のみ込んだときにつかえるなどの違和感が出ることがあります。これは食道がんの自覚症状に似ています。胃に気持ち悪さを感じる人もいます。
胃酸の逆流が起きると、酸っぱい液体が口に戻ったり、胸焼けを覚えたりします。食道が胃酸にさらされ炎症が起きる「逆流性食道炎」を疑い、内視鏡検査をしてがんが見つかることもあります。どう治すの?
がんが粘膜内にとどまっている早期の場合は、内視鏡治療が検討されます。手術では、がんを含めて食道と胃、周囲のリンパ節を摘出します。進行の度合いによっては、抗がん剤治療を組み合わせることもあります。
これまでは担当医が食道と胃のどちらを専門とするかで、切除の範囲が異なることもありました。このため、14年、関係学会は手術基準をまとめ、不必要な部位の切除を減らすようになりました。
具体的には、扁平(へんぺい)上皮がんというタイプで食道側にある場合は、食道がんとしての手術を基本に、胸部や腹部の食道と胃の上部を切除します。一方、腺がんというタイプで、食道側のがんが少ない場合は、胃がんの手術に準じて胃(上部または全部)と食道の下部を切除します。