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1日3杯以上のコーヒーで肝臓が......肝疾患での入院リスクが2割も減る!
コーヒー好きには朗報かもしれない――。コーヒーを1日3杯以上飲むと肝疾患を予防できる可能性のあることが、新たな研究で示された。
1日に3杯以上のコーヒーを習慣的に飲んでいる人は、全く飲まない人と比べて肝疾患による入院リスクが有意に低減したというのだ。研究の詳細は、米国栄養学会(Nutrition 2018、6月9~12日、米ボストン)で発表された。
コーヒー1日3杯以上~入院リスクが21%低下
米ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のEmily Hu氏らは、アテローム性動脈硬化症に関する前向きコホート研究であるARIC(Atherosclerosis Risk in Communities)研究のデータを用いて、コーヒーの摂取量と肝疾患に関連した入院や死亡リスクとの関連を調べた。
対象は、同研究に参加した45~64歳の男女1万4208人。1日当たりのコーヒーの摂取量は、1987~1989年および1993~1995年の追跡調査時に実施した食物摂取頻度調査票の回答から評価した。
その結果、参加者は小さめのカップ(約240mL)で、1日当たり平均2杯弱のコーヒーを摂取していた。また、中央値で24年間の追跡期間中に肝疾患関連の入院は833件発生し、同じく中央値で26年間に238人が肝疾患関連で死亡した。
解析の結果、人種や所得、健康状態や食事内容で調整後も、コーヒーを1日3杯以上摂取すると肝疾患に関連した入院リスクは有意に21%低下することが分かった。一方、1日3杯以上のコーヒー摂取と肝疾患による死亡リスクとの間には有意な関連は見られなかった。
以上の結果からHu氏は「適度な量のコーヒーを飲むことは、肝疾患リスクの低減と関連することが分かった。コーヒーの摂取は肝臓に有害ではないとするこれまでの説を裏付けるものだ」とコメントしている。
今回の結果は目新しいものではない?
米ノースウェル・ヘルス、サンドラ・アトラス・バス肝疾患センターのDavid Bernstein氏は、先の研究結果に対して以下のようにコメントしている。
「これまでに計43万人以上を対象とした複数の大規模研究で、コーヒーを摂取すると、特に過食や飲酒の習慣がある人で肝硬変のリスクが有意に低減することが報告されており、今回の結果は目新しいものではない」
しかしBernstein氏は「Hu氏らの研究は、近年集積しつつあるコーヒー摂取が肝疾患の進行リスクの低減に有効とするエビデンスを支持するものだ」と付け加えている。
なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものと見なす必要がある。
(文=編集部)