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【デキる人の健康学】食事で白内障の進行を抑制 ビタミンCは食事での摂取が大事(産経新聞)
白内障は目の水晶体を構成する蛋白質クリスタリンが変性することにより、本来透明な水晶体が白色に濁ることにより発症する。
通常、45歳以上の中年で発症し年齢を重ねるにつれて物がかすんだりぼやけて見えるなどの症状が進行、80歳以上の高齢者ではほとんどが何らかの形で白内障の症状を引き起こしていると言われている。しかし病気の進行速度には個人差があり、水晶体の白濁そのものは皮膚のシミや皺などと同じく老化の一環と位置づけられている。
英国キングスカレッジロンドン眼科学のクリストファー・ハモンド博士らの研究チームは、遺伝よりも食事や生活習慣の方が白内障の発症や重症度に関連性が高いことを明らかにして話題をよんでいる。
研究チームは英国在住の女性の双子2054人の食事のアンケートから栄養素の摂取量を推定し、更に60歳の時点での目のデジタル画像から白内障の進行度を定量化しそれらの関連性を検討した。
その結果、白内障の発症は遺伝的要因が35%で残りの65%は食事などの環境要因であることが分かった。また、食事に含まれる栄養素を解析した結果、ビタミンCが豊富な食事を摂取している女性の白内障のリスクは通常よりも19%低いことが明らかとなった。
さらに研究チームが324組の双子を10年間追跡調査し70歳の時点での白内障の進行度を再評価した結果、ビタミンCが豊富な食事を摂取すると報告した女性は白内障の進行のリスクが33%も低いことが分かった。
ビタミンCは酸化を防ぐ作用があるが、目の内部のビタミンCの濃度が高いと水晶体が酸化して濁るのを防ぐ作用があるとハモンド博士は考察する。興味深いことにサプリでビタミンCを摂取していた女性は白内障の進行を抑制できなかったことから研究チームはビタミンCは食事による摂取が大事であることを強調している。
■白澤卓二(しらさわ・たくじ) 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。1990年より2007年まで東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダー。2007年より2015年まで順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。2015年より白澤抗加齢医学研究所所長。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など300冊を超える。